インドネシアの日系企業就職・転職で押さえておくべき13(前編)

インドネシア日系企業の就職・転職-1

インドネシアという海外で就職や転職を考えている方に、日系企業で働くために押さえておくべき重要な13項目をご紹介する。私が9年間インドネシアの日系企業で働き、自社の求人や募集、面接などをして採用を決めたり、現地日系企業の社長などからお聞きした内容の中で、最も大事なことを【前編】と【後編】の二回に分けてお伝えする。

この記事を読むことで、失敗することなく日系企業に就職や転職ができて、インドネシアで働くことができようになるだろう。さらに日本人だけでなくインドネシア人の仲間や友人がたくさんできて、休日には自由にゴルフやサーフィン、野球などのスポーツも楽しめることができる。

インドネシアの日系企業で一番悩ませている問題は、仕事ができる現地人マネージャーが極端に少ないことだ。単純作業をする従業員はたくさんいるが、彼らをコントロールできる管理職がいないのだ。だから日系企業においては、日本人を採用せざるを得ない状況にある。就職や転職を考えている日本人にとっては、より良い条件を自由に選ぶことができる「売り手市場」ということだ。また、最近の傾向として若い日本人女性の求人や募集が増えている。

今回はインドネシアに就職や転職を考えている方に、どうしたら日系企業に就職や転職できるのか、どんな求人や仕事があるのか、どんなスキルを求められているのか、インドネシアで働くとはどういうことなのかについてお伝えする。これからインドネシアの日系企業に就職や転職するために人材紹介会社に登録しようと考えている方にも役に立つだろう。

目次
1.就職や転職には就労ビザ取得が最低条件
2.現地採用で大きく変わる就職・転職後の給与
3.就職・転職は英語よりインドネシア語をマスターせよ!
4.就職・転職に求められるのは即戦力
5.就職・転職先の所在地で生活が変わる?
6.若い女性は就職・転職に有利
7.就職・転職のスキルは指導力だけでいい
後編に続く

1.就職や転職には就労ビザ取得が最低条件

インドネシア日系企業の就職・転職1

インドネシアで就職や転職するための最低条件として就労ビザがある。就労ビザがなければインドネシアで働くことはできないので、日系企業だけでなく現地ローカル企業にも就職や転職はできない。就職・転職活動を始める前には、まず就労ビザが取得できることを確認する必要がある。

外国人労働者の雇用について、インドネシアの入国管理局(労働移住省)の規定は以下のようになっている。

外国人労働者雇用について労働移住大臣規定2013年第12号第5条

a. 外国人労働者が就く予定の役職要件に応じた学歴があること
b. 外国人労働者が就く予定の役職にに応じた、能力認証によって証明される能力あるいは5年以上の職歴を有していること
c. 指導するインドネシア人労働者に対して、専門性を移転する旨の表明書を作成する用意があること
http://jakartajc.web.fc2.com/corp/141024a.pdf(日本語)

以上のように規定されているが、基本的には「学歴」と「職歴」の両方が必要だということだ。学歴についてははっきりしていないが、大学卒業とみなされている。高校卒業では就労ビザが取得できない場合がある。

職歴については5年以上の経歴があるか、または技能証明書(インドネシア語)などの提出を求められる場合がある。もし認可されない場合には、就労ビザが取得できなかったり、希望する年月(最長2年)の就労ビザが取得できず、6ヶ月になってしまう場合もある。最近では、会社の役員以外の方で、25歳未満や60歳以上の就労ビザの取得が難しくなっている。

まとめると就労ビザが取得できる条件は以下になる。

就労ビザ取得条件
・大学卒業
・5年以上の職歴(または能力証明書の提出)
・25~60歳である

最近では就労ビザの取得がさらに厳しくなっているが、以上の条件を満足していなくても取得できる場合があるので、旅行代理店や人材紹介会社に問い合わせてほしい。

就労ビザについては以下の記事が参考になる。
インドネシア就労ビザ取得方法まとめ

私が使ったことのある旅行代理店は以下がある。
・インドネシア旅行社:http://www.ifctour.com/
・株式会社デバンダ:http://debanda.com/

2.現地採用で大きく変わる就職・転職後の給与

インドネシア日系企業の就職・転職2

インドネシアで働くということでは同じ仕事内容であるが、現地採用なのか、日本採用でインドネシア赴任かで、給与も待遇もまったく変わってくる。

日本人を現地採用する求人が増えているが、その理由は人件費の削減だ。

現地で採用するということは、現地のインドネシア人を雇用する代わりに日本人を採用するということだ。そのため通常は家賃、日本での厚生年金の積立や健康保険費用、海外旅行障害保険、一時帰国費用は支給されない。通勤も公共機関やバイクなどを使うか、他の日本人と一緒の車に同乗させてもらうことが多い。

それでも現地のインドネシア人マネージャークラスの給料より、プラス10万円以上の給料が支払われる。相場としては業種によって開きがあるが、おおよそ20万円ぐらいの手取りになる。ボーナスを含めた手取り年収は250万円~500万円程度だろう。

日本採用でインドネシアに単身赴任する場合、現地での支給と日本の家族のための生活費の支給と2つに分かれる。そして、単身赴任手当、赴任準備金、一時帰国費用、厚生年金積立、健康保険、なども日本での給与として支払われる。相場として、日本と現地を合わせた年収で600万円~1,000万円になる。

つまり現地採用の場合には年収がおおよそ半分以下になってしまう。

しかし現地採用にはメリットもある。それはインドネシア国内でのステップアップが可能になることだ。日系企業だけでなく、現地のローカル企業やアメリカやヨーロッパなどの外資系企業にも転職が可能になる。インドネシアのローカル企業の多くは、日本との取引をしたいと思っているので、日本人を採用したいのだ。

ただし、ローカル企業は日本のように人材紹介会社に求人は殆んどしないので、自分で見つけるしかない。日系企業で働きながら、優良なローカル企業を探し、ステップアップすることで給与をあげられるし、スキル次第では社長クラスにもなることができるのだ。

インドネシアの給与の相場については以下の記事が参考になる。
【インドネシア海外単身赴任】生活費の相場や赴任手当の相場について

3.就職・転職には英語よりインドネシア語をマスターせよ!

インドネシア日系企業の就職・転職3

インドネシアでの公用語はインドネシア語だ。インドネシアにおいて頻繁に英語が聞こえてくるのはバリ島の観光客ぐらいしかない。文書で英語が必要なのは、輸出入のインボイスなどの国際取引の書類だけだ。それ以外はインドネシア語で話し、インドネシア語で書き、インドネシア語で読んで理解している。日本人は会社の仕事でもインドネシア語で教えたり、指示することがどうしても必要だ。

だから、英語よりもインドネシア語をマスターしてほしい。

インドネシアの就職や転職の募集要項に「英語、インドネシア語」と書かれている場合があるが、採用する会社からみれば「インドネシア語」を話せる日本人がほしいのだ。「インドネシア語ができないとしたら、英語でも仕方がない」という意味なのだ。

インドネシア語のレベルは、日常会話ができればよい。インドネシア語能力検定という試験があるが、レベルはC級レベルが最低ほしいところだ。B級になると外国語大学などで4年以上勉強しないとなかなか合格しないレベルだ。7月と1月に1次試験があるので、確認しておいてほしい。

インドネシア語能力検定試験
https://www.i-kentei.com/

なお、独学でお金もかけたく場合には、以下の記事を読んでこれだけ覚えておけば、日常的なインドネシア語は十分だ。
駐在9年で開発した最速インドネシア語習得6ステップ【限定版】

4.就職・転職に求められるのは即戦力

インドネシア日系企業の就職・転職4

インドネシアの日系企業では即戦力を必要としている。それが現地採用でも日本採用でも変わらない。たとえばプラスチック成型の会社では、成型機の条件設定や金型の交換やメンテナンスができないと採用されない。電子部品組立であれば、組立工程のレイアウトや組立作業の指導、設備メンテナンスができる必要がある。営業であれば、営業の経験や経歴が必要だし、ソフトウェアの会社であれば、プログラミングの知識と経験が必要だ。

日本のように新卒で入社して3年かけて育てるようなことはしない。今日入社したら、明日から現場で指導したり、お客さんへの訪問ができるぐらいでないと採用されないのだ。

入社を希望する会社と同じ業界での経験が最低3年以上必要だし、求人をしている会社側も経歴を一番重要視する。

業界で働いた経歴がない場合、採用される唯一の条件はインドネシア語をマスターしていることだ。最初は通訳として採用されて、業界の専門用語を覚えながら現場での指導という仕事にシフトしていくことも可能だ。

経歴もないし、インドネシア語も通訳レベルでない場合には、インドネシアでの就職や転職は諦めた方がよいだろう。単純に「インドネシアは好きだから」とか「海外で働きたい」というだけでは、会社側は採用しないということを覚えておいてほしい。大学を卒業しただけの新卒の方にとっては、インドネシアの会社に就職は厳しいだろう。

私も何度かそういった日本人と面接をしたことがある。本人の働きたいという意欲はわかるがそれだけでは、ゼロから指導しなければならないし、間違ったことを現地人に教えてしまったら取り返しがつかないので、採用しなかった経験がある。

5.就職・転職先の所在地で生活が変わる?

インドネシア日系企業の就職・転職5

インドネシアで就職や転職する会社を選ぶときには、会社の所在地で就職後の生活が全く変わってくる。自動車や二輪車関係などの製造業の多くは西ジャワ州の工業団地内にある。ジャカルタ中心街より車で、1時間から2時間ぐらいの範囲だ。

工業団地内の会社の場合のメリットとしては、日系企業が多くあるので日本人同士の付き合いが多くなる。工業団地内の会合やゴルフなどで日本人のコミュニティーに参加できるし、ビジネスを紹介したり紹介されたりということがある。しかし、日本人同士だけと付き合うことになってしまい、インドネシア人との触れ合いが少なくなってしまう。工業団地内でなくても、近くに工業団地や日系企業がある場合にもやはり日本人同士の付き合いが多くなる。

工業団地からかなり離れている会社もかなりある。離れている会社の場合には、必然的にインドネシア人との付き合いが多くなるし、食事も日本食レストランがほとんどなくローカル食が多くなる。また、繁華街やモールに行くにも時間がかかるので、都会的な生活は望めない。逆に自然の中で、煩わしいモラルや人間関係に悩むことなく、より人間らしく生活ができる。

工業団地として、MM2100、イジップ(EJIP)、ジャバベカ、デルタシリコンなどがあり、ジャカルタにも近く、モールも近くにあるので買い物も便利だし、日本食レストランも数多くある。

カラワン工業団地より西方面は、ゴルフ場が近くにありゴルフをする人にとっては便利だ。スルヤチプタ工業団地は、かなり田舎になるので工業団地内では便利だが、一歩団地外に出るとジャングルと田んぼが広がっている感じだ。

物流関係の会社はタンジュンプリオクなどの港の近くや、スカルノハッタ空港の近くに会社がある。また、家具やシューズ、食品などの製造会社は地方に分散しているし、IT関係やサービス業はジャカルタのオフィスビルに入居している場合が多い。

私が個人的に気に行っているのはバンドンだ。ジャカルタほどでないが、近くにモールも日本食レストランもあるし、アウトレットのショップが多くある。バンドンが一番オススメなのは、「涼しい」ことだ。少し高台にあるので気温が全く違うし、雨が降ると半袖では寒いと感じるくらいだ。

ジャワ島以外にも日系企業はある。ほとんどは住宅街の中か、自然の中にあるので、都会よりも海やジャングルが好きな人にとっては過ごしやすい。

いずれにしても勤務地を調べておくことで、勤めた後の生活を想像できるようにしておいてほしい。都会が好きな人がジャングルの中に位置する会社に勤めてしまったら、うつ病にもなりかねない。

工業団地の中でイジップ(EJIP)の日系企業のリストは以下を見てほしい。
【インドネシア就職転職】ジャカルタから近いイジップの日系企業リスト

6.若い女性は就職・転職に有利

インドネシア日系企業の就職・転職6

インドネシアの会社に就職や転職するには先述したように就労ビザが最低条件だ。そのために25歳未満と60歳以上には就労ビザは取得しにくい。25歳未満であれば、一度日本の会社に就職してスキルを身につけてからの方がよいだろう。60歳以上の方は、工場長や役員として転職することになるので、マネージメントの経験がないと採用されない。

最近の現地採用の傾向として、20代〜30代の女性の求人が増えている。不動産の紹介、雑誌などの取材、編集などが多くなるが、製造業の営業や社長秘書などの求人も多い。こういった場合、職歴や高いスキルは求められていない。インドネシアに適応できるか、長く働くことができるかという点がポイントになる。

日系企業の多くは現地に進出している日系企業との取引が多く、日本の商習慣が理解できる若い女性であれば商談もしやすいからだ。日系企業の社長やマネージャークラスは、60代以上のいわゆる「おじさま」が多く、若い日本人女性というだけでもガードが下がって、取引や契約をしてしまうのだ。

採用する日系企業も、現地採用で比較的安く雇用できるし、商談もまとまりやすいのであることをわかっているので求人が多いのだ。ただし、若い女性の場合には現地採用に限られるので、給与はあまり高く望めない。相場としては16万円〜25万円ぐらいになってしまう。豪華な暮らしはできないが、安全のために家賃補助をしてくれる会社もあるので、希望する会社に問い合わせてほしい。

女性が高給を得られて重宝される分野としては、インドネシア語の通訳だ。社長の秘書兼通訳であれば、どの会社でも欲しがっている。現地調達のためにローカル企業と交渉したり、頻繁に変わる法律関係を翻訳して要約伝えてくれる人は非常に喜ばれる。

7.就職や転職のスキルは指導力だけでいい

インドネシア日系企業の就職・転職7

日系企業が日本人を雇用するのは、現地のインドネシア人に指導をするためだ。日本的な価値観で、社長の意図や社風を理解して、現地人に指導し、確認して、改善していくのが仕事になる。

これがインドネシア人マネジャーにできないから、仕方なく現地マネージャーの2倍以上の賃金を払って日本人を雇うのだ。つまり、日本人には強力な指導力が必須となる。「指導力がない日本人はいらない」というのが本音だ。

現地のインドネシア人を指導できなければ契約期間が終了した時点で終わりになってしまう。現地人とも上司の日本人とも、「仲良く一緒にお手てつないで楽しく仕事しましょう」とはいかない。

上司の日本人には、報連相(報告、連絡、相談)が必要だし、現地人には「なぜこれをするのか」を納得するまで説明し、「どうやってやることが正しい方法か」を理解させ、できるまで自分の目で確認する。そして、自分が居なくてもほかの従業員に伝わるようにマニュアル化していく。

問題が発生すれば、すぐに対応し、再発防止策をまたマニュアル化する。これらの問題解決方法や手順も、現地人のマネージャークラスに教えていかなくてはならない。

私も工場のジェネラルマネージャーとして赴任していたが、毎日が指導と確認に追われていた。日本では思いもよらないトラブルや問題が毎日のように発生していたからだ。

例えば、私が作業現場を見ていると、作業員の女性が組立ラインでイヤホンで音楽を聴きながら作業をしているのを見つけた。その女性にはすぐに注意しないで、ラインの管理者とマネージャーを呼んで、「あそこでイヤホンをしている作業員がいるが、あれは良いことか、それとも悪い行為か?」と質問をした。もちろん答えは「やってはいけない行為です」と答えた。

「では、なぜやってはいけないことをしているのか?」と聞くと、答えられなかった。そして「今後こういう行為をしないためにはどうしたら良いか?」と聴き、答えを出させて、マニュアル化する。そのマニュアルが作業者全員に理解されるまで、確認をしなければならない。そして新人作業者の初期の指導内容にも盛り込まなければならない。

簡単なように見えるが、こんな簡単なことでさえ時間と根気が必要になるということだ。日本人が直接作業者に注意をしていたら、注意された作業者はしないが、他の作業者が同じことをやり、ただの「モグラたたき」になってしまうのだ。指導すると言うことは怒ったり、怒鳴りつけたりすることではない。現地の管理者を巻き込んで、理解させて、同じ間違いをしないように仕組みをつくることだ。

詳しい管理者の育成方法については以下の記事を見てほしい。
インドネシア従業員を優秀な管理者に育成する5つのステップ

就職や転職するには経歴や職歴が必要なのだが、実はこういった簡単ことを徹底させることが、一番大きな仕事になるのだ。

インドネシアの仕事は、自分一人で黙々と仕事をこなすことではない。現地のインドネシア人を指導できるかどうか、ということだ。もし指導ができそうもないのであれば、インドネシアでの就職や転職はやめたほうがいい。

インドネシアの日系企業就職・転職で押さえておくべき13【後編】に続く
インドネシアの日系企業就職・転職で押さえておくべき13(後編)

英語不要!コピペだけでバリから個人輸入ができる
ノウハウを詰め込んだマニュアルを無料プレゼント中

たった17日間で個人輸入ができるようになる方法をまとめました。まったく初めての人でも簡単に、時間をかけずに、失敗せずに個人輸入できるようになります。

すぐ使えるメール文章を載せてありますので、英語もインドネシア語も理解できなくても、コピペだけで個人輸入できるようになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です