関税が免除される国から個人輸入して利益率をアップさせるプロの秘策

関税免除国から個人輸入

海外から商品を輸入するときに避けては通れないのが「関税」である。通常は、海外から商品を個人で輸入するときも、あるいは法人(会社)で輸入するときでも、その商品に対して税金がかかってくる。これを輸入関税という。

関税は商品の仕入代金に上乗せされるため、必然的に仕入れ値段が上がることになる。つまりこの「関税」のことを詳しく知ることは、商売の利益率に大きく影響する。

関税のことを知っているか知らないかで個人輸入ビジネスでは大きく差がついてしまう。素人とプロの差はここにあると言っても過言ではない。ハッキリ申し上げよう。関税のことを知っているか知らないでいるかは、「儲かるか」「儲からないか」の大きな分かれ道なのだ。

今回は、海外から商品を輸入して国内で販売(転売)する個人輸入ビジネスにおいて、関税が免除されていたり、かなり低い関税(税率)が適用される国から商品を輸入して商売の利益率を上げる方法にをご紹介する。個人輸入ビジネスのプロの秘策ともいうべきものだ。さらには、関税を低く抑えるために知っておくべき「関税のカラクリ」についても同時にご紹介する。

個人輸入ビジネスで本格的に儲けていこうと思っている方はもちろん、副業で安定的に稼いでいこうと思っている方にとっても必見の内容である。

まず、個人輸入ビジネスにおいて利益率を上げるためにやらなければいけないことは、大きく以下の4つだ。

1.仕入れ価格を下げる
2.販売価格を上げる
3.輸送費用を抑える
4.諸経費を下げる

どれも当たり前の事なのだが、多くの人は、例えば諸経費を軽く見ているし、関税率は「最初から決まっているもの」として諦めている。「関税率」はすでにわが国で一様に決まっていて、変わりようがない、仕方がないと思い込んでいる場合が多い。しかし、そうではないという事例をご紹介しよう。

関税率

例えば、1万円の革製のブランドバックの場合、同じ型式のものの場合、アメリカやフランスから輸入するときの関税率は、20%(2,000円)だが、インドネシアから輸入すれば関税率は0(ゼロ)円、つまり 無税となる。

さらに、「関税」は各国との政策の交渉に使われることがあるため、「関税率」は頻繁に変更される。最近では、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)で話題になっているが、「自国の利益を守る」ことと、「自国の国際ビジネスを活性化させる」という各国の目論見が国家間のせめぎ合いとなっている。その交渉材料になっているものが「関税」だ。

利益率を上げながら個人輸入ビジネスで稼ぎ続けるためには、日々変更される関税について敏感になる必要がある。

多く人が意識していないのだが、じつは輸入関税がほとんど無税の国が世界にはたくさん存在する。つまり、取り扱う商品を決める際に「どの国から何を輸入すれば関税が免除されるのか」ということをよく知っておけば、手続もスムーズになり、商売の利益率も上げられるのだ。

バリ島などから個人輸入する具体的な品物については以下の記事が参考になる。
→ 【バリ島個人輸入】インドネシア産はちみつの関税手続きの徹底解説
→ 【バリ島個人輸入】儲かるサンダルや革靴の関税手続きの方法徹底解説
→ 世界一高級なコーヒー「コピルアク」を個人輸入し販売する方法
→ 誰でもできるバリ島雑貨を個人輸入OKな現地仕入れ先リスト翻訳付き
→ インドネシアから個人輸入できる人気のバリ島雑貨トップ100選

[目次]
1.関税がほぼ免除される国を探す
2.20万円以下の関税
3.関税の計算方法
4.関税の支払い方法
5.公的な相談できる機関
6.まとめ

1.関税がほぼ免除される国を探す

関税が免除される国々
個人輸入ビジネスといえば最近流行りの「アマゾン転売」だ。米国のアマゾンの商品を輸入して日本のアマゾンやオークションサイトで転売するという多くの人がやっている個人輸入ビジネスだ。ある程度の英語力と商品リサーチ力があれば、簡単に利益をあげることができる。

しかしこのビジネスの欠点は、ほとんどの場合がそうなのだが、まったく好きでもなく興味もない商品を扱うことになるので、楽しくないしモチベーションが続かない。輸入ビジネスの醍醐味は、世界中の国々から珍しいものや日本にないものを扱うことができることだ。常に新しい発見があるし、興味深いものを販売できるからこそ注目を集め、満足感や達成感が得られる。

そこで以下の国を探し出すことをおススメする。

1.日本との関係が良好で親日的なアジア諸国は輸入先の狙い目

輸入仕入先として日本との関係が良好で、かつ親日家も多いアジア諸国は関税率が低い国が多い。これらの国々については輸入関税がほぼ免除されている場合が多々ある。

その理由は、日本とwin-winの関係が成立しているからだ。日本との経済格差が大きいアジア各国は、自国からの製品を日本に輸出し、自国通貨よりも強い外貨(日本円やアメリカドル)を稼ぐ。一方の輸入する側の日本は、アジア諸国から送られてくる品物を安く輸入できる。いわゆるギブアンドテイクの関係が成り立っている。

この関係が成り立っている国については、日本の外交政策として関税を免除する傾向がある。日本政府としても、アジア諸国などとの経済関係を深め、協力関係を築くことができれば経済面ばかりでなく防衛上も有利になる。

ちなみに、インドネシアの雑貨を個人輸入したい場合には、厳選した仕入れ先を調べてあるので、以下の記事が役に立つ。
→ 個人輸入できるインドネシア・バリ島厳選仕入れ先23店

また、バリ島雑貨の個人輸入について、インドネシア語で書かれたサイトでも理解できるように日本語訳を施した記事もあるので目を通してほしい。
→ 誰でもできるバリ島雑貨を個人輸入OKな現地仕入れ先リスト翻訳付き

2.関税率は毎月変更される

まず知ってほしいのは、関税率は関係する国々の政府や国際情勢によって随時変化するということだ。関税率は不変ではない。実際に、実行関税率は毎月のように何らかの変更がなされている。

この関税率は、輸入関税の品目と輸入国別(制度別)関税率というものだが、これらは財務省貿易統計によって知ることができる。かなり膨大な品目に分かれているが、この実行関税率表が関税の基本となっているので、目当ての商品については毎月のように確認チェックしおいたほうがいい。

・財務省貿易統計・輸入統計品目(実行関税率表)
http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm

3.関税率の種類と優先順位

輸入品の関税率を決める際に、様々な協定や国際的な取り決めがあり複雑に絡み合っている。どういった協定があるのか、どういった順序で適応されるのかをまず知るべきだ。

輸入関税の概略図を下記に示す。実際には原産地や製造プロセスなどにより様々な条件があるが、最初はイメージとして捉えてほしい。基本的な考えとしては、関税率は税率が低い方が適用されるということだ。
関税率(概略図)

それぞれの関税とその意味を表にまとめておいた。優先順位は適応される協定や法規の順番を示しているが、最終的には関税の低い方が適応される。輸入の際には必ずその製品の「原産地証明」が必要になるので、輸入前に必ず確認しておくことが大事だ。

原産地証明
特定国や地域において生産・製造・加工されたことを証明する書類。英語名:Certificate of Origin。原産地証明書の発行は輸出国の税関や権限のある商工会議所、メーカーなどで発行され、ほとんどの場合輸入申告時に必要だ。特恵関税制度などの適応を受けるには「一般特恵制度原産地証明書様式A(Certificate of Origin GSP Form A)」を輸入申告時に提出する必要がある。

輸入関税決定基本フローチャート

例えば、インドネシアの場合には、2国間の経済連携協定と国際的な特恵受益国の両方に登録されているが、優先されるのは2国間の経済連携協定だ。

・関税の優先順位・種類・解説

優先順位 関税の種類 解説 具体例など
1 経済連携協定(EPA) 2国間で決められた関税およびアセアン加盟国の間で決められた税率 インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、モンゴルなど
2 特別特恵(LDC) 開発途上国の中でも経済発展を特別に支援するためで、2016年4月で47カ国ある アフガニスタン、ネパール、バングラデシュ、東ティモールなど
3 特恵(GATT) 開発途上国を支援するために設定され、2016年4月で143の国と地域がある イラク、エジプト、コスタリカ、ペルーなど
4 WTO協定 世界貿易機関(WTO)によって世界経済の発展のために定められた162の国と地域が加盟 米国、カナダ、フランス、中国、韓国、ボツワナなど
5 暫定税率 政策上の必要性から一定期間に限り適応される 関税暫定措置法により改正が頻繁に行われる(最終改正:平成28年3月31日)
6 基本税率 国内産業の状況などにより長期的観点より設定 関税法により、上記すべてに当たらない場合に適応される

4.経済連携協定(EPA)を締結している国々

経済連携協定EPA[出展:http://suaranasional.com/]

日本と2国間の経済連携協定を結んでいる国は14カ国とアセアン諸国があり、現在交渉中の国々もある。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)には署名をしたが、発効までにはまだ時間がかかるだろう。

国名 発効日 状況
シンガポール 2001/11/30 2007/9/2改定
メキシコ 2005/4/1 2012/4/1改定
マレーシア 2006/7/13 締結中
チリ 2007/9/3 締結中
タイ 2007/11/1 締結中
インドネシア 2008/7/1 締結中
ブルネイ 2008/7/31 締結中
フィリピン 2008/12/11 締結中
カンボジア 2009/12/1(ASEAN全体) 締結中
ラオス 2008/12/1(ASEAN全体) 締結中
ミャンマー 2008/12/1(ASEAN全体) 締結中
スイス 2009/9/1 締結中
ベトナム 2009/10/1 締結中
インド 2011/8/1 締結中
ペルー 2012/3/1 締結中
オーストラリア 2015/1/15 締結中
モンゴル 2015/6/7 締結中
環太平洋パートナーシップ協定(TPP) 未締結 署名のみ
東アジア地域包括的経済連携(RCEP) 未締結 交渉中
EU経済連携協定 未締結 交渉中
カナダ 未締結 交渉中
コロンビア 未締結 交渉中
トルコ 未締結 交渉中
韓国 未締結 交渉中断中
日中韓自由貿易協定 未締結 交渉中
湾岸協力理事会(GCC)自由貿易協定 未締結 交渉延期中
[出展:外務省ホームページより]

5.特別特恵受益国

特別特恵受益国(後発開発途上国)

特別特恵受益国とは、後発開発途上国(Least Developed Country)のことだ。後発開発途上国は、国連が決めた開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々のこと。所得水準が低く、人的資源が乏しく、経済的に脆弱とされる国だ。これらの国々を世界中で支援しようという取り組みだ。

基本的には後発開発途上国から輸入する場合には、関税が免除される。以下に特別特恵受益国を示す。

特別特恵受益国 (48カ国)

国または地域 国または地域 国または地域
アフガニスタン ジブチ 東ティモール
アンゴラ スーダン ブータン
イエメン 赤道ギニア ブリキナファソ
ウガンダ セナガル ブルンジ
エチオピア ソマリア ベナン
エリトリア ソロモン マダガスカル
ガンビア タンザニア マラウイ
カンボジア チャド マリ
ギニア 中央アフリア ミャンマー
ギ二アビサウ ツバル モーリタニア
キリバス トーゴ モサンビーク
コモロ ニジェール ラオス
コンゴ民主共和国 ネパール リベリア
サントメ・プリンシペ ハイチ ルワンダ
ザンビア バヌアツ レソト
シオラレオネ バングラデシュ 南スーダン
[出展:United Nations(Development Policy and Analysis Division)]

6.特恵受益国及び地域

特恵受益国(開発途上国)

国連によって開発途上国(Developed Country)に指定されている国や地域だ。開発途上国から輸入する場合には、関税がかなり低く抑えらている。

詳細は下記の「一般特恵関税マニュアル(東京税関)」を参照のこと。
http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/seido_tetsuduki/gensanchi/ippan.pdf

特恵受益国及び地域(91カ国、7地域)

国または地域 国または地域 国または地域
アゼルバイジャン コンゴ共和国 パラグアイ
アルジェリア サモア フィジー
アルゼンチン ジャマイカ フィリピン
アルバニア シリア ブラジル
アルメリア ジンバブエ 米領サモア地域
アンティグア・バーブーダ スリナム ベトナム
イラク スリランカ ベネズエア
イラン スワジランド ベラルーシ
インド セーシェル ベリーズ
インドネシア セルビア ペルー
ウクライナ セントクリストファー・ネーヴィス ボスニア・ヘルツェゴビナ
ウズベキスタン セントビンセント ボツワナ
ウルグアイ セントヘレナ及びその付属諸島地域 ボリビア
エクアドル セントルシア ホンジュラス
エジプト タイ マーシャル
エルサルバドル タジキスタン マケドニア
ガーナ 中華人民共和国
(香港及びマカオ地域を除く)
マレーシア
カーボヴェルデ チュニジア ミクロネシア
ガイアナ チリ 南アフリア共和国
カザフスタン トウケラ諸島地域 メキシコ
ガボン ドミニカ モーリシャス
カメルーン ドミニカ共和国 モルディブ
キューバ トルクメニスタン モルドバ
キルギス トルコ モロッコ
グアテマラ トンガ モンゴル
クック諸島地域 ナイジェリア モンテネグロ
グルジア ナミビア モントセラト地域
グレナダ ニウエ島地域 ヨルダン
ケニア ニカラグア ヨルダン川西岸及びガザ地域
コートジボワール パキスタン リビア
コスタリカ パナマ レバノン
コソボ パプアニューギニア
コロンビア パラオ
[出展:外務省ホームページ(特恵受益国及び地域一覧 平成26年度)]

2. 20万円以下の関税

少額貨物の簡易税率(20万円以下)

課税価格の合計が20万円以下の少額輸入貨物には、「少額輸入貨物に対する簡易税率」が適応される。輸入者は簡易課税率か一般課税率かを選択できるが、種類の違う複数の輸入品の一部だけの適応は不可だ。20万円以下でも簡易課税が適応しない品目もあるので、同時に下記に示しておいた。

課税価格とは
貨物を輸入する際に、関税や消費税の標準となる価格のこと。課税価格の計算・決定は、関税定率法、関税定率施行令、関税定率法施行規則によって規定されている。多くの場合、現実に支払われた価格に、運送費などを加算要素を加えたものが課税価格となる。

少額輸入貨物に対する簡易税率表を下記に示す。個人輸入に関係すると思われるものだけを抜粋した。詳細は税関の「総額20万円以下の貨物の簡易課税率」を参照してほしい。
→ http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1001_jr.htm

・少額輸入貨物に対する簡易税率表(抜粋)

番号 品目例 関税率
1 ①ワイン
②りんご酒
¥70/L
¥30/L
2 ①トマトソース
②アイスクリーム・氷菓
③なめし皮・毛皮(ドロップスキン)・毛皮製品・毛皮衣類
20%
3 ①コーヒー・茶(紅茶を除く)
②なめし・仕上げた毛皮(ドロップスキンを除く)
15%
4 ①生きている動物
②肉・魚・酪農品・天然はちみつ
③食用野菜・根
④食用果実・果皮
⑤ショウガ
⑥食用の海藻
⑦肉、魚の調製品・ココア、ミルク調製品
⑧ベーカリー製品
⑨かご細工物・枝条細工物
⑩絹織物
⑪衣類
10%
5 ①生きている樹木・切花
②染料・顔料
③精油・化粧品類・せっけん・洗剤・ろうそく
④プラスチック製品
⑤傘・つえ・造花
⑥石・プラスター・石綿
⑦ガラス製品
⑧銅、ニッケル、アルミ製品
⑨卑金属の道具、刃物、スプーン
⑩家具・寝具・マットレス
⑪がん具
3%
6 ①ゴム・ゴム製品
②紙
③陶磁製品
④すず・すず製品
無税
7 前各号に掲げる品目以外のもの 5%

課税価格が20万円未満であっても、日本国内の産業を保護するために簡易税率を適用しないものがある、

・簡易税率を適応しない品目

番号 品目例 番号 品目名
1 ミルク・クリーム等 12 石油
2 雑豆 13 メントール
3 穀物 14 原皮・皮
4 穀粉等 15 革製品
5 落花生・こんにゃく芋 16 繭・生糸
6 豚肉及び牛肉調製品 17 ニット製衣類
7 ココア調製品 18 履物
8 穀粉・穀物の調製品 19 身辺用細貨類(卑金属以外)
9 調製食料品 20 革製の携帯用時計バンド
10 たばこ 21 革製の腰掛の部分品
11 精製塩

3.関税の計算方法

関税の計算方法

輸入した際に支払うべき関税の計算方法は非常に複雑で、すべてを理解することは難しいということをまずは承知していてほしい。そこで、ここでは個人輸入において基本的な事項についてのみお伝えする。

海外から物品を個人輸入する場合には、大きく分けて「個人使用目的」なのか、「商業目的」なのかによって関税は違ってくる。正確には、個人で使用する目的の場合には「個人輸入」といい、輸入品を販売する商業目的の場合には「小口輸入」と言っている。まずは呼び名が違う。

関税の計算は「個人輸入」または「小口輸入」によって全く違ってくるのだ。

①個人輸入

個人輸入は個人で使用する目的なので、様々な待遇や免除を受けることができる。理由は、個人で使用するのですべて「自己責任」という前提を置いているからだ。関税がかかっても購入価格の60%が関税適用価格になる。

【計算例①:アメリカから輸入の場合】
輸入品:コーヒー
品目コード:0901.21.000
仕入れ先:アメリカ
購入価格:10万円
納税額:9,000円

例えば、10万円分のコーヒーをアメリカから輸入した場合には、関税は、60%の6万円が課税標準額となる。よって、6万円に対して関税率を掛けた価格が納税額となる。この場合の関税率は、少額貨物の簡易税率が適応されて15%となり、納税額は6万円 × 15% = 9,000円となる。

【計算例②:インドネシアから輸入の場合】
輸入品:コーヒー
品目コード:0901.21.000
仕入れ先:インドネシア
購入価格:10万円
納税額:なし

もし、コーヒーをアメリカではなくインドネシアから輸入した場合には、関税は無税なのでむずかしい計算は必要なく、納税額もタダということになる。

2.小口輸入

商業目的の場合には購入した価格ではなく、「CIF価格」を計算に使用する。CIF価格が課税適応価格となる。さらに消費税が加算されて納税額が決まる。消費税の計算は内国消費税と地方消費税の二段階に分けて計算される。

CIF価格とは
Cost(価格)とInsurance(保険料)とFreight(運賃)の略で、輸出業者が貨物を輸入港で荷揚げするまでの費用(商品価格・梱包費・輸出通関費・運賃・船荷保険料)を負担する取引条件で決められた価格のこと。貿易取引に関して最も多く用いられる取引条件の一つ。他には、売主が輸出港までの費用だけを負担するFOB(Free On Board)価格がある。

ここでは品目を限定せずCIF価格と関税率だけに注目して計算をしてみる。関税率が変わることで、計算方法と支払うべき金額の差を感じてほしい。

【計算例①:基本税率の場合】
CIF価格:534,795円
関税率:14%

CIF価格に1,000未満を切り捨て、関税率を掛けて、さらに端数を切り捨てた価格が関税となる。消費税の8%を内国消費税(6.3%)と地方消費税(1.7%)に分けて計算するという面倒がある。内国消費税はCIF価格の1,000円未満を切り捨てた金額に6.3%を掛け、地方消費税は内国消費税の17/63を掛けた金額になる。

・関税:
534,795円 → 534,000円・・・[端数切り捨て] 534,000円 × 0.14 = 74,760円 →74,700円・・・[CIF価格×関税率=関税 → 端数切り捨て]

・内国消費税:
534,795円 + 74,700円 = 609,495円 → 609,000円・・・[CIF価格+関税 →端数切り捨て] 609,000円 × 0.063 = 38,367円 → 38,300円・・・[(CIF価格+関税端数切り捨て)×6.3% →端数切り捨て]

・地方消費税:
38,300円 × 17/63 = 10,334.920円 → 10,334円・・・[内国消費税×17/63 →端数切り捨て]

・納税額 = 関税+内国消費税+地方消費税となり、納税金額は

74,700円 + 38,300円 + 10,334円 = 123,334円
となる。

最終的には、534,795円+123,334円 = 658,129円が出費となり、約18.7%が税金として支払うことになる。

【計算例②:インドネシアなどの経済連携協定締結国から輸入で関税率が0%の場合】
CIF価格:534,795円
関税率:0%

・関税:
0円

・内国消費税:
534,795円 + 0円 = 534,795円 → 534,000円・・・[CIF価格+関税 →端数切り捨て] 534,000円 × 0.063 = 33,642円 → 33,600円・・・[(CIF価格+関税端数切り捨て)×6.3% →端数切り捨て]

・地方消費税:
33,600円 × 17/63 = 9,066.666円 → 9,066円・・・[内国消費税×17/63 →端数切り捨て]

・納税額 = 関税+内国消費税+地方消費税となり、納税金額は

0円 + 33,600円 + 9,066円 = 42,666円
となる。

最終的には、534,795円+42,666円 = 577,461円が出費となり、約7.39%が税金として支払うことになる。

これを表にまとめると以下になる。

項目 基本税率の場合 インドネシアなどの国の場合
CIF価格 534,795円 534,795円 0円
関税率 14% 0% 14%
関税金額 74,700円 0円 74,700円
内国消費税 38,300円 33,600円 4,700円
地方消費税 10,334円 9,066円 1,268円
納税合計額 123,334円 42,666円 80,668円

つまり、関税が14%と0%では、約53万円の物品を輸入したら、約8万円もの差が出てきてしまう。このコストを大きいか小さいか判断するのは個人の問題だが、多くの人はこの「関税のカラクリ」に気づいていない。

商業目的で輸入する場合、関税が安くなるからといって「個人使用のため」と偽って申告することは違法になるので辞めてほしい。税関は税金を正しく納めてもらう為のプロフェッショナルだ。長年の経験と勘で、インボイスを見ただけで個人使用なのか、商業目的なのかがわかってしまうからだ。

関税の計算方法については、条件がたくさんあり正確には上記のようにならない可能性があるので、最終的には税関に問い合わせてほしい。詳細は次章でご紹介する。

4.関税の支払い方法

関税の支払い方法
関税及び消費税の支払いについては、輸送方法によって違ってくる。大きく分けて3種類がある。

1.国際郵便
2.国際宅配便
3.貨物便

それぞれ解説しよう。

1.国際郵便

①課税価格が20万円以下の場合
課税価格が20万円以下の荷物については、日本郵便株式会社の通関交換局に到着し、税関を経て、配達される。関税がかかる場合には配達員に支払う。事前に郵便局より連絡がある場合とない場合がある。

②課税価格が20万円を超える場合
日本郵便株式会社の通関交換局に到着。税関の検査の結果、輸入申告が必要な場合には荷物は通関交換局に保管され、輸入者に連絡する。輸入者は、自分で税関に輸入申告をし税関の審査を経て、関税等を納入する。郵便物は税関からの輸入許可後に配達される。

関税の支払い方法については以下の3つの方法がある

関税支払い方法①:郵便事業株式会社に通関手続きを委任した場合
マルチペイメントネットワークを利用して納付が可能。納付番号と確認番号の連絡があるので、最寄りの金融機関・インターネットバンキングで支払う。

日本マルチペイメントネットワーク運営機構
https://www.jammo.org/html/member/showServiceList

関税支払い方法②:郵便事業株式会社以外の通関業者に通関業務を委任する場合
通関手続きを依頼した通関業者に問い合わせること。

関税支払い方法③:名あて人自身が輸入(納税)申告を行った場合
輸入申告審査終了後に、税関から納付書が交付されるので、日本銀行または日本銀行代理店で関税等の納付すべき税金を支払い、領収書を税関に提示する。

2.国際宅配便

荷物は直接配送され、税金は国際宅配便会社が立て替えをしているので、宅配便会社へ支払う。

3.貨物便

通関業者に通関業務等を委託すると、通関料が発生する。課税申告価格が201,000円以上は11,800円、201,000円未満であれば8,600円が通関料となる。多くの場合、国内輸送は別料金となる。

5.関税について相談ができる公的機関

相談できる機関

輸入関税は非常に難しい分野だ。資格としても通関士や貿易実務検定が存在する。本格的に学習したい場合には挑戦してみるのも良いだろう。

個人輸入ビジネスにおいては原油や天然ガスなどを輸入するわけではないので、ピンポイントで理解しておけば問題ない。しかし、ピッタリと合致した輸入方法や関税の計算などが見つからない場合が多いもの実態だ。私もかなり探したつもりだが、輸入品目やどの国からの輸入などによって多岐に渡り、ピッタリとした条件が見つからない場合が多かった。

関税については、税関に聞けばいいのだが、ハードルが高く感じてしまい輸入ビジネスを辞めてしまう人も多い。実は税関には、輸入する前に無料で教えてくれる制度がある。以下に案内する。

1.事前教示制度

税関では、以下の内容について事前教示制度がある。

①輸入する前に貨物の税率を知りたい
品目分類のサイトより、キーワードを入力すると過去の問い合わせ内容の回答が見られる。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/bunrui/index.htm
http://www.customs.go.jp/searchsv/jitsv001.jsp

②輸入する前に貨物の関税評価上の取り扱い
③輸入する前に貨物の原産地の取り扱い
④輸入する前に貨物の減免税の適用の可否
⑤到着した貨物も早く引き取りたい
⑥輸入許可後に納税したい
⑦税関の手続きを詳しく知りたい

以上の項目については、「輸出入通関手続きの便利な制度」を参照してほしい。
→ http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm#g

2.税関相談官制度

下記のサイトに書かれている各税関の「税務相談官」に問い合わせてほしい。以外と対応が良いので、怖がらずに相談してみよう。なお、「カスタムアンサー」では税関手続FAQが掲載してあるので参考にするといい。

・輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問い合わせ
→ http://www.customs.go.jp/question2.htm#b

6.まとめ

関税が免除される国から個人輸入して利益率を上げるという個人輸入のプロがやっている秘策ともいうべき方法を紹介した。

個人輸入ビジネスを始める場合には、日本とお互いとってwin-winの関係にあるインドネシアなどの関税が免除される国から物品を輸入すれば、仕入れ価格を抑えることができ、利益率を上げることができる。20万円以下の少額であれば、簡易課税となり、輸入手続をスムーズに行うこともできる。

個人輸入のいいこところは、世界中から自分の好きな分野の商品を輸入していく点だ。アメリカのアマゾンで、全く興味のわかない商品を転売して儲けるつまらないビジネスは長続きしない。一時的に儲かったとしても時間が経てば自然とビジネス自体に飽きてしまう。

あなたの好きな商品や興味がわく商品を個人輸入して販売すればモチベーションも続き、継続的に稼いでいくことにつながる。また、お客様に自信をもって商品を紹介したりもできる。

世界にはまだ日本にないものがたくさんある。特に今回ご紹介した経済連携協定などの国や、特恵受益国からの輸入品であれば、ほとんどの商品に関税はかからない。「関税が免除される」というポイントから個人輸入ビジネスを検討してみることをおススメする。

関税がかからなければ、複雑な関税の計算も必要ないし、利益額も大きくなり、儲けも出せていける。今後もさらに個人輸入ビジネスに関することをご紹介していくので、楽しみにしてほしい。

以上、「関税が免除される国から個人輸入して利益率をアップさせるプロの秘策」をご紹介した。

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4 件のコメント

  • 初めまして。
    1点、質問してもよろしいでしょうか?
    展示会で特恵関税適用国から革商品を製作、輸入しようとして、デザインから打ち合わせしてきて、SAMPLEも制作してきたのですが、いざ生産を依頼しようとした時に、
    「送り先(私の住所になります)が、法人でなければ特恵関税が適用されない。運送料も費用が嵩みます。以前、一度頓挫したことがあります。」
    との報告を受けました。

    自分はまだ登記はしていないので、少しでも関税を少なくする方法はないかと探しています。
    まだJETRO等には聞いていないのですが、現状、関税を少なくするにはどのような方法があるのでしょうか?
    お知恵を拝借できれば非常に助かります。

    • hyodo様
      ご連絡ありがとうございます。以下ご回答いたします。
      1.まずHSコードが不明ですので、関税を少なくできるのかどうか、回答のしようがありません。輸入関税に関しては、個人でも、法人でも関係はありません。
      2.基本的に革製品は、WTO協定税率になる場合が多くあり、特恵税率に適応しない場合があります。つまり、HSコードによりますが、関税率を安くする方法は基本的ありません。
      3.しかし、HSコードによりますが、インドネシアなどEPA協定によって、例外的に20万円以下で、原産地証明があれば無税になる可能性はあります。
      4.一番早く関税率を知る方法は、「所轄の税関に書面で問い合わせる」ことが良いでしょう。JETROでは責任を取れないため、アドバイスをしていないと思います。または、コンサル料金がかかるでしょう。
      以上、ご回答いたします。ご参考になりましたら幸いです。

  • 早急な回答を有難うございます。
    ”輸入関税に関しては、個人でも、法人でも関係はありません。”
    この返答に心強さを感じました。
    そして、税関の特恵関税について記載のあるWEBを閲覧したのですが、
    かなりの量(106P)の内容と、表記内容の判りにくい部分が多々あり、
    知りたい部分、
    ”法人ではなく個人でも特恵関税が適用できるのか?”
    この内容は記載されているのかどうかというのも未だ見付かっていません。
    http://www.customs.go.jp/roo/origin/29ippan.htm

    ”革製品は20万円以下でも税率適用”
    との記載があったように見受けられたので、ここは島田様の仰る通り、
    ”所轄の税関に問い合わせる” 事を進める方向で動きます。

    個人的に、僕の税関の認識が ”曖昧な部分が多い” という認識で凝り固まってしまっていて、良いイメージが無く、問い合わせても”TES/No” のみでそこから先へ進む為のアドバイスも何も無いのだろうという負のimageが遠ざけている始末です。

    取引先のバングラデシュの会社に、日本へ輸出した時に特恵関税が適用にならなかった時に状況をもう少し詳しく聞いてみます。

    あと、同時に、こういった手続き代行サービスの会社に依頼してみる事も検討しているのですが、方向性に間違いはあるでしょうか?
    http://www.rubiconem.com/service/sv_01.html

    有難うございました。

  • HYODO様
    バングラデッシュの状況は分かりかねますが、税関に書面で問い合わせてみてください。
    なお、輸入代行会社にも様々なサービスや得意、不得意な商品群がありますので、十分吟味して依頼することをおすすめします。

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