インドネシアでの移動はほぼ車を使うことになる。しかし、タクシーや社用車においても、安全で快適な車の移動をするには、さまざまなテクニックが必要になってくる。

今回は、インドネシアにおいてぜひ覚えておくべき車の移動に関するテクニックをご紹介する。さらに、運転手を雇う時の注意点や運行管理方法、運転免許証の取得方法についても解説する。

1.信頼できるタクシーに乗る
2.社用車はスモークシートを貼る
3.日本人赴任者は運転しない
4.故障時でも車外に出ない
5.車内に荷物を置いたままにしない
6.運転手の携帯にかけられるようにしておく
7.トイレは早めに
8.アパートメント契約時には駐車場を確保
9.ジャカルタのジョッキーはできるだけ使わない
10.渋滞を避ける工夫を
11.渋滞時の楽しみを持つ
12.運転免許証の取り方
13.ドライバーを雇う時の条件
14.ドライバーの管理方法
15.断食月の対応
16.乗り合いでコストダウン
17.チップ(食事代)
18.高速道路は100Km/hで
19.運転手はインドネシア語の先生

1.信頼できるタクシーに乗る

日本人がインドネシアで安心して乗れるタクシーは、以下の2社だけ。それ以外のタクシーには乗らないことだ。メーターを回さないで法外な料金を請求したり、強盗まがいな事件も毎年にように報告されている。

・ブルーバードグループ

ブルーバード
ブルー・バード[出典:www.drrahulsen.com]
http://www.bluebirdgroup.com
青色のタクシーだが、同じ青色をしているタクシーもある。必ず「Blue Bird」または「Pusaka」のマークを確認してから、手を上げることだ。また、高級なクラスとして「Silver Bird」という黒色メルセデス・ベンツのタクシーもある。

運転手付きでレンタルも可能で、電話をするか、空港などでレンタルする。なお、空港にはタクシーの呼び込みが声をかけてくるが、すべて無視して、ブルーバードの列に並ぶことだ。行き先を告げ、定額の料金を支払う。高速道路料金とチップ(料金の5%が目安)は別に支払う。

・エクスプレス

エクスプレス
エクスプレス[出典:travelplusindonesia.blogspot.com]
http://www.expressgroup.co.id/expressweb/

・日系の運転手付きレンタカー会社

Butler Japan
http://butler-japan.asia
日本語で対応してくれる日系のレンタカー会社。予約しておけば空港まで迎えに来てくれるので安心だ。

2.社用車はスモークシートを貼る

ガラスフィルム
ガラスフィルム[出典:www.carmudi.co.id]

日本人が通勤や営業で使う社用車には、窓に日除けのスモークシートを貼り、社名は入れないことだ。日本人が乗っているとわからないようにすることが目的だ。日本人が乗っているとわかると強盗などに襲われる危険性が高まるからだ。「日本人が乗っている=お金を持っている」という固定概念があるためだ。スモークシートは、車の販売会社に依頼すれば2日ほどキレイに貼ってくれる。

通勤時間帯やルートも変えていくこともオススメする。毎日同じ時間に、同じところを通過することだわかっていれば、計画的な犯行が可能になってしまうからだ。

日本人は狙われていると思うことが大事なのだ。

3.日本人赴任者は運転しない

日本からの赴任者は、自動車の運転をしないことだ。事故が起きた時の対応ができないからだ。事故が起きると、周りの住民や野次馬が数十人以上が殺到する。警察の到着も遅いし、事故の相手も喧嘩腰になってくる。その間に車内のカバンを盗まれたり、後続車から追突などにも注意しなければならない。

さらに、自分自身が怪我をした場合にも、救急車の到着までに時間がかかるので、命を落とす危険性もあるからだ。

しかし、テロなどの緊急事態が発生した場合には、その場所から離れるために、自分で運転できるように心構えだけは持っておくことだ。

4.故障時でも車外に出ない

エンジンの調子が悪かったり、タイヤがパンクしたときでも車外に出ることは危険だ。修理は運転手に任せ、車内にいることだ。インドネシアでは、パンク強盗が頻発しているからだ。車が止まっていると、どこからか多くの人が集まってくる。”修理を手伝う”フリをして、車内のカバンやバックを盗むのだ。

最悪の場合は、修理が完了した時点で、車ごと盗まれることもある。パンクなどの場合に必ず車内にいて、鍵を閉め、じっと待つことだ。

5.車内に荷物を置いたままにしない

運転手がいても、ずっと車のそばに居るわけではない。車内に荷物を置いたままにしておくと、ガラスを割られてバックなどを盗まれることがある。貴重品はもちろん、カバンやバックは必ず持って車から離れることだ。

6.運転手の携帯にかけられるようにしておく

携帯は必須

外出先で頼りになり、すぐに対応してくれるのは運転手しかいない。かならず運転手に連絡が付けられるように、自分の携帯番号リストに入れておくことだ。モールなどで買い物をし、運転手を呼びたい場合にも携帯電話で連絡することもできる。

7.トイレは早めに

インドネシアの渋滞の激しさは世界でトップクラスだ。夜間や早朝だと30分のところを、昼間や通勤時には3時間以上かかることよくあることだ。高速道路でも、一般道であっても、日本人が安全に”用を足す”ことができる場所は少ない。パーキングエリアか、モールなどの限られている。

特に、下痢などの症状の場合には我慢の限界に達することもある。できるだけ早くトイレに行きたいことを告げて、安全なトイレがある場所に行ってもらうことだ。

8.アパートメント契約時には駐車場を確保

ジャカルタのアパートメントの契約時には、駐車する1台分のスペースを確保しておくことだ。通勤などに使う社用車は、夜間はアパートメントの駐車場に駐車する。運転手には、朝、アパートメントにバイクなどで来てもらい、鍵を渡して車をエントランス前まで出してもらうのだ。

運転手の不正防止のためにも、駐車場の確保は必須なのだ。

9.ジャカルタのジョッキーはできるだけ使わない

ジャカルタのジョッキーたち
ジャカルタのジョッキーたち[出典:en.tengrinews.kz]

ジャカルタの主要な通りには、「3 in 1(スリー・イン・ワン)」という制度がある。朝と夕方の混雑する時間帯に限り、スディルマン通りなど指定された大通りを走行するには、1台につき3人以上乗車しなければならない。通りの入り口には警察官が立っており、違反すると罰金が科せられる。

それを避けるために、「ジョッキー」と呼ばれる「相乗り屋」がいるのだ。タクシーのように人差し指をあげて、相乗りを促している人がいる。たしかに便利だが、全く知らない人を社用車の載せるのはやはり危険をともなう。ナイフなどを持って乗り込まれたら、どうしようもないからだ。

10.渋滞を避ける工夫を

ジャカルタ、バンドン、スラバヤもインドネシアでは渋滞が激しい。できるだけ時間のロスを避けるためには渋滞の時間帯を避けることしかない。朝の出発の時間を早めたり、帰宅の時間を遅らせたりといったことが必要になる。

昼間の移動については、渋滞する道を避けた移動計画をすることしかない。アポイントメントを取る場合も、かなり時間に余裕を持った時間にすることだ。日本からの出張者は、時間の節約のためにジャカルタ市内で1日に5件以上ものアポをとっている場合があるが、現在では無理だ。1日3件程度にして訪問することをおススメする。

さらに、雨季や洪水などが発生すると、渋滞がさらに激しくなる。私の最長記録はジャカルタ郊外の工業団地から、スカルノハッタ国際空港まで、通常は2時間のところを、12時間かかったこともあった。

11.渋滞時の楽しみを持つ

game
GAME[出典:vgi.co.id]

インドネシアに駐在していると車の中で過ごす時間がどうしても多くなる。だから、車で過ごす時間を楽しむことで、ストレスの解消になる。ニンテンドーDSやプレーステーションポータブル、スマートフォンのゲーム機能なども、たくさんのソフトが揃っていて楽しい。

DVDプレーヤーなどで映画を見てもいい。もちろん、ノートパソコンで仕事をしてもいい。また、インドネシア語の習得のために、運転手と雑談もオススメする。
車内で寝るだけではなく、楽しいことをすることで、緊張した赴任生活のストレス解消に役立つのだ。

12.運転免許証の取り方

運転免許証(SIM)
運転免許証(SIM)[出典:aufalatifah.blogspot.com]

赴任者は運転しないことが原則だが、どうしても運転をしなければならない場合にはインドネシアでの運転免許証を取得する必要がある。外国人の場合は、有効期限は1 年で、自動車を運転できるSIM-A、と二輪車を運転できるSIM-C がある。

運転免許証(SIM: Surat Izen Mengemudi)の取得方法

・申請書類の提出

1.申請書
2.申請料の支払い証明書(Rp100,000)
3.健康診断結果
4.パスポート(原本とコピー)
5.一時滞在許可証(KITAS)
6.写真

・筆記試験(3択)

パソコン上で選択をする。インドネシア語が堪能であれば、簡単な問題だ。

・運動機能(視力と屈伸)

試験官の前で、視力と屈伸を行う。

・実技試験

・まっすぐ行ってUターンして戻って来る
・車幅+60cmのエリアにバックと前進で駐車
・縦列駐車
・坂道超え
出展:http://ujiansim-online.blogspot.jp/2014/11/ujian-praktek-sim-disertai-gambar-video.html

13.ドライバーを雇う時の条件

・ドライバーを雇用時の質問

運転手を雇用する場合には、以下の質問をしてほしい。

・日本人の運転手をやったことがあるか
・日本人のよく行く場所を知っているか(レストラン、ゴルフ場、日系スーパー、ホテルなど)、
・なぜ前の会社を辞めたのか、
・運転歴
・敬虔なイスラム教徒かどうか(お祈りの時間と断食月の対応が必要なことを知るため)

・試用期間

かならず試用期間を設けて、運転を確認することだ。日本のように教習所はないので、正しい運転かどうかは赴任者がチェックすることだ。運転が荒い、下手、渋滞の中で進ませる技術があるか、などを中心に見ていく。

・秘密を守れるか

運転手は契約社員であっても、通常の従業員と同じ扱いになる。日本人がどこに行ったのか、どんなことをしているのかは秘密事項にしなければならない。日本人の行動は従業員は知りたがっているからだ。

うわさはたいがいドライバーから流れていると思った方がいい。例えば、カラオケで「お持ち帰りをした」などの情報は、従業員に秘密にする必要があるからだ。

・運転手の募集方法

運転手の募集は、同じ運転手仲間から紹介してもらう。日本人がよくいくレストランなどでは、運転手同士のコミュニティーができているからだ。もう一つは、日本食スーパーの掲示板を利用する。募集をしたり、掲示物を見たりすることだ。

14.ドライバーの管理方法

ドライバー
ドライバー[出典:www.cumicumi.com]

運転手を雇用する場合には、本採用になってからも運転手を管理する必要がある。

管理する項目は以下。

・運転免許証の期限を確認

インドネシアの運転免許証の有効期限は5年なので、次の更新時期を把握しておくことが大事だ。

・運行記録をつけさせる、チェックする

特に、走行距離とガソリンの消費量を確認すること。ガソリンスタンドの店員と共謀して、ガソリンをペットボトルなどの容器に入れて転売することがあるからだ。

・車の鍵の管理方法

通勤に使う社用車の場合、アパートまで車で送ってもらい、アパートの駐車場に駐車する。キーは部屋まで持ってきてもらう。朝は、運転手がアパートの部屋まで車のキーを取りに来て、車をロビーまで出しておく。

車とキーは、赴任者が保有していることが大事なのだ。どうしても仕事の関係上できない日は、車はアパートの駐車場に置き、運転手がキーを持って帰る場合もある。

なぜそんな面倒なことをするのかというと、運転手が夜間に社用車をつかって「白タク」をするからだ。また、合鍵を作って、車を無断で使っている場合があるので、ランダムにアパートの駐車場に行って、車があるかどうかのチェックも必要だ。

・残業時間の調整をする

運転手は、赴任者の通勤から、夜の食事、カラオケなども付き合うので、どうしても拘束時間が長くなり、残業代も大きくなる。できるだけ運転手の残業時間を減らす調整をすることだ。運転手が数人いる場合には、乗り合いで通勤する、休日のゴルフなどは1台だけで出かける、担当の赴任者のローテーションを行う、などといったことが必要だ。

残業時間の集計は、運行記録を毎回確認するか、時刻を赴任者が書き込むようにする。

15.断食月の対応

断食月には、食事も水も飲まないため注意が散漫になる。できるだけ昼間に仮眠させることだ。午後6時に断食が開けるので、前もってペットボトルの水を準備させ、水分補給をさせる配慮も必要だ。

16.乗り合いでコストダウン

最近では、コストを下げるために、赴任者を工場の近くアパートにまとまって住んでもらう傾向がある。社用車と運転手の人数も減らすことができるし、走行距離が減るのでガソリン代の節約にもなるからだ。

17.チップ(食事代)

運転手のチップは社内で統一しておく。夕食を食べにレストランなどに行く場合、運転手にも食事代としてチップを上げることが定例になっている。チップの値段は社内で統一し、最低賃金を考慮しながら、と毎年上昇しておくと、不満や不公平にならないのでよい。相場は、夕食時Rp5,000〜Rp10,000、休日は終日拘束するので、約2~3倍のチップだ。

18.高速道路は100Km/hで

制限速度は100Km/hのところが多いが、できるだけ100Km/hを超えないようにルールを決めておくことだ。それは、道路の状態が悪いからだ。凸凹になっていたり、障害物が落ちている可能性も高い。郊外に行くと高速道路を人間が渡っている場合もある。
どうしても急ぐ場合でも120Km/hがMAXと決め、運転手がオーバーしたら、すかさず注意することだ。
その時の言い方は「トゥラル・チュパット!」(速すぎる!)。

私が実際に体験したのは、高速道路で対向車線から小さな石が中央分離帯を帯び超えて、フロントガラスに当たったことがある。一瞬でフロントガラス全面にヒビが入り、前がまったく見えなくなった。幸運にも、運転手が冷静に、ゆっくりと速度を落としながら路肩に止めたので、大事故にはならなかった。

19.運転手はインドネシア語の先生

運転手とは、雑談をすることで、インドネシア語の練習になる。簡単な数字を言ってみる、右、左、警察官、看板の意味など、話題はいくらでもあるからだ。
[右:カナン:Kanan]
[左:きり:Kiri]
[警察官:ポリシ:Polisi]

なお、以下のフレーズを覚えておくと便利だ。

・モールなどの受付で運転手を呼び出す決まりフレーズ

Tolong panggil mobil, bapak [Ali] dari [PT. ABC]
「トロン パンギル モービル、バパ [アリ] ダリ[ペーテー.アーベーチェー]」
「車を呼んでください。ABC会社のアリさんです」

・運転手に直接電話するとき

Halo, Ini Shimada. Tolong datang di Lobi.
「ハロー、イニ シマダ。トロン ダタン ディ ロビー」
「ハロー、島田です。ロビーに来てください」

まとめ

インドネシアにおいての移動手段として、車が圧倒的に多いが、トラブルも多く起こっている。タクシーでも社用車でも同じだ。まずは日本人は狙われていると感じて、いろいろな対策をしておくことが大事なのだ。

自分の身は自分で守るということだ。ぜひ、この記事を参考にして、インドネシアで安全で、快適な生活を送り、ビジネスを発展させてほしい。