インドネシア進出の中堅企業の給与と赴任手当相場比較(その2)

海外進出のブームは大企業から中小企業に移ってきている。特に東南アジアではそうだ。赴任する社員にとって気がかりなのは給与と家族のことだ。中小企業では家族を日本に残して単身赴任する割合が多い。

私の9年という単身赴任の経験から、インドネシア赴任の給料の相場、手当や待遇について詳しくお伝えする。赴任する予定の方や家族、送り出す会社側にも参考にしてほしい。

赴任手当相場(その1)
1. インドネシア給与相場はプラス50~100万円
2. 手取りは変わらずに物価はどんどん上がる
3.インドネシアでの待遇一覧

赴任手当相場(その2)をお伝えします

4.単身赴任と家族帯同のメリット・デメリット
5.個人所得税は30%で手取り額が減る
6.本社採用と現地採用の差は大きい

 

4.単身赴任と家族帯同のメリット・デメリット

単身赴任か家族帯同か

単身赴任か、家族帯同かは迷うところだが、メリット・デメリットをよく話し合って決めてほしい。インドネシアの中小企業の場合の約70%以上が単身赴任だ。その理由は会社側の費用負担が増大するからだ。家族帯同の場合、住居、家族帯同手当、子女教育費、海外旅行障害保険、一時帰国費用などが家族人数分増えるからだ。

・単身赴任のメリット・デメリット

メリット:

・仕事に集中できる
・赴任にかかる費用が安い
・夜や休日は自分の自由時間がある
・妻の自由の時間が増える
・たまに会うと新鮮な気持ちになる

デメリット:

・妻や子供に会えずに寂しい
・食事や健康に不安
・二重生活になるので経済的に負担
・妻の育児などが大変になる
・浮気の可能性が高まる

・家族帯同のメリット・デメリット

メリット:

・普段どうりの生活に近づける
・精神的に安定した生活が維持出来る
・子供に外国での生活体験ができる
・妻や子供にも外国語をマスターできる
・食事や健康管理ができる
・妻の自由時間が増える(掃除・洗濯はお手伝いさんがやってくれるため)

デメリット:

・衛生状態がよくないので病気にかかりやすい
・妻が現地での仕事ができない(ビザのため)
・子供の教育費の負担が大きくなる
・中学校を卒業したら日本に帰国することになる
・安全に配慮が必要
・会社側の金額負担が大きくなる

・日本人学校の入学金・授業料・スクールバス代など

日本人学校は私立の学校で、幼稚部、小学部、中学部とある。高校からは帰国するか、インターナショナルスクールに通うことになる。インドネシアには、ジャカルタ、バンドン、スラバヤに日本人学校がある。初年度は入学金、授業料、施設負担金、スクールバス、寄付金(学校維持会費)などがある。寄付金は企業の規模に応じて決められている。

ジャカルタ日本人学校(小学部)に通う場合、編入時に約76万円かかる。
最新の情報は各学校に問い合わせてほしい。

5.個人所得税は30%で手取り額が減る

30パーセント

会社が支払う年間給与総額を550万円とした場合、手取りとして日本では約464万円になるが、インドネシアでは394万円になる。約70万円も手取りが減ってしまう。(39歳、扶養なし、1円=Rp110で計算)

大きな違いは所得税率と所得控除額だ。個人所得税率は、日本では20%、インドネシアでは30%で計算をしているからだ。そして、インドネシアでは日本と比較して所得控除金額が少なく、課税所得金額あがってしまうのだ。

手取りが減ってしまうために多くの会社が採用しているのは「グロスアップ」という方式だ。まず手取りを決めてから、会社が支払う給与を逆算する。シュミレーションでは、手取りを日本と同じ約464万円にするには、総支払給与総額が649万円になる。
実際には海外赴任手当などを加えていくために額面上の総支払い給与総額はさらに増えることになる。

・グロスアップのシュミレーション例

仮に、赴任者の手取りを現在の464万円に、赴任手当などをプラス66万円(毎月5万5千円)増やした場合を想定してみた。駐在員の手取り年収は合計530万円になり、会社がは支払う総支給給与額は744万円になる。

[グロスアップシュミレーション例]
グロスアップシュミレーション
[表1:39歳、扶養なし、赴任3年予定、万円、1円=Rp110]

支払給与総額と手取りの違いをはっきりさせておくことで、他の会社や相場などに振り回されなくなるのだ。
詳細の給与計算や条件については、人事担当者に聞くか、国際会計コンサルタントに相談してほしい。

 

6.本社採用と現地採用の差は大きい

 

現地採用か本社採用か

・現地採用の相場は200万~400万円

現地採用の相場は、機械メーカで40歳の手取りで、200万円から400万円が相場だ。日本採用の場合と比べて200万円ほどの差がある。赴任者手当などはほとんどなく、手取りの給料に含まれている場合が多い。

現地採用では、現地人のマネージャークラスよりもすこし多い給料で雇われることになる。多くは、配偶者がインドネシア人であったり、日本での就職が決まらず、現地採用しか道がなかった場合だ。最近では定年後に現地採用として働くシニアも多い。

現地採用の場合は、ずっとインドネシアで暮らすには良いが、貯蓄などがほとんどできず将来への不安を抱えることになる。住宅や食事などの生活レベルも日本採用の赴任者と比較して低くならざるをえない。資格取得などの日本でおこなっている社員教育もほとんどされない。

会社側からすれば「日本語が話せてある程度仕事をしてれる人材」という位置付けなのだ。中小企業が現地採用を増やしているのは、なんと言っても日本人一人に対するコストが低くおさえられるからだ。日本採用で、日本の本社から赴任させる場合には、いろいろな手当や住宅などの現物支給が必要になる。現地採用の場合には、住宅や車両などの現物支給が少なく、会社の負担が軽くなるからだ。

・現地採用のメリット・デメリット
現地採用になると、住宅費、通勤車、一時帰国費、海外勤務手当、帯同家族手当、子女教育手当、ハードシップ手当、海外住宅手当、単身赴任手当、語学手当などはほぼ必要ない。さらに支払う給与もかなり抑えることができるからだ。

現地採用者のメリットもある。他の地域や国への転勤がない、責任の範囲が限られている、退職、転職もかなり自由にできるという点はある。現地人のようにスキルアップしながら、インドネシア国内で転職を繰り返していくことも可能だ。

まとめ

基本となるのは「手取り額」だ。

「手取り額」を決める際には、日本の基本給をベースにしながら、各種の手当を当てはめていくことだ。赴任手当や海外役職手当、単身赴任手当、ハードシップ手当などを割り振っていく。グロスアップという慣れない言葉だが、手取り額を逆算していくことで全体の総支給額が決まってくる。

決して手当の名前や金額ではないことが、これで理解できたと思う。会社によって扱う手当が異なるが、インドネシアの物価も考慮しながら手当の金額を毎年更新していくことも必要だ。

インドネシアに赴任・駐在するということは不安がたくさんある。給与や待遇だけなく、言葉・生活・病気・家族も含め赴任予定者と会社はじっくりと話し合いの場をつくることを強くおススメする。

特に給与や待遇についてしっかりと話あうことで、お互いに理解を深め、インドネシアでの激務に応えることができるのだ。ぜひ、これを参考にしてインドネシアでの新しい赴任生活を送ってほしい。

赴任手当相場(その1)はここから

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