海外で飲食店を出店開業して成功するノウハウ【経営者インタビュー2】

海外飲食店開業2

インドネシアで飲食店を実際に出店開業し、成功へと導いた経営者に直接そのノウハウを聞いてみた。前回の竹谷氏というラーメン38の創立者のインタビューの続きだ。

第1弾のインタビュー記事 → 海外で飲食店を出店開業して成功するノウハウ【経営者インタビュー1】
この第1段では、1.なぜインドネシアで飲食店を開業したのか、2.ラーメン店の開業まで、3.海外の飲食店の出店開業の手続きで苦労したこと、という内容だ。

目次
1.海外で飲食店が生き残る秘訣
2.出店した海外での味つけと食材の仕入れ方法
3.海外飲食店の従業員の指導法

ここインドネシアで、飲食店の代表ともいえるラーメン店を開業し、繁盛して成功店となったそのワケと海外で生き残っていく秘訣を資金(お金)、味(料理)、場所(立地)の3つの切り口でインタビューしてみた。

1.海外で飲食店が生き残る秘訣

飲食店開業秘訣

Q:ラーメン38の出店開業の際、一番お金がかかったことは何ですか?

竹谷:ここインドネシアで、2003年にラーメン店とカラオケボックスをほぼ同時に開店しました。ところがカラオケボックのほうが赤字で、開店から1年くらいはラーメン38の利益は、ほぼ全額カラオケボックスに吸い取られたという感じですね。

カラオケボックスと言っても当時はそういうジャンルがなかったので、飲食店であるレストランの中に個室を作り、部屋の中にテレビとカラオケシステムを配備して体裁を整えた形です。「食事もできるし歌も歌えます」という触れ込みで始めました。

竹谷氏が始めたカラオケボックスのほうには、なかなか利益が生れてこなかった原因は様々にあると思うが、「新規ビジネス」という顧客認知が低い業種(ジャンル)の場合は、一見すると独占的で儲かりそうなイメージだか、お客さんがその業種(ジャンル)を認知するためには「広告宣伝費」という相当な額の投下資金が必須だ。

単体で利益が出せる(キャッシュフロー黒字、単月黒字ともいう)までには、広告宣伝費が意外とかかってしまう。売上効果が表れるまで人件費はかさむ。社会認知度が低いビジネスに取り組むときには、顧客教育(世の中に知らしめる)のための資金(広告宣伝費)を予算の中に立てるべきである。

とくに初めて起業する場合には、認知度の低いビジネス(ジャンル)は避けるべき。これは起業して成功するノウハウの一つだ。竹谷氏のように、カラオケ店の経費をまかなうべく、ラーメン店の利益というバッファーを置いておく手堅い戦略には、かなりの高度な技術が必要だ。

Q:なぜカラオケボックスを始めたのですか?

竹谷:その時の理由は正直はっきりとは憶えていないんですが・・・ただ、当時はここインドネシアのジャカルタに日系のカラオケボックスがウチも含めて3店舗同時に出店開業した年でした。そしてラーメン店もウチを含めて3店舗同時にここジャカルタに出店開業したんです。

海外に生活する日本人が求めているであろうものを、日本人の経営者たちが考えて「これはまだないからやろう!」と始めたノリです。だからなんでも同時期になるのですね。ちょっと不思議な話なんですが、自分が思いつくアイデアは絶対に誰か他の人も思いついているということです。

最終的には、ここインドネシアのジャカルタで、カラオケボックスについては他社の1店舗が勝ち残り、ラーメン店についてはウチが勝ち残ったという結果になりました。

Q:ラーメン38が勝ち残った理由は何ですか?

竹谷:僕は日本の中心・東京の飲食店で働いていました。東京は日本一地方から人が集まるところですね。だからどこか特定の地方の味付けを避けました。地方色の濃い味のラーメンを避けたんです

もちろん九州の人に言わせたら「こんなの豚骨ラーメンじゃない」と実際に言われましたよ。だけど、そういうのは全部知らんふりをしました。「ど真ん中をつくラーメン屋」というコンセプトで、九州などの地方の味というのは一切考えずに、誰もがまあまあ美味しいと思えるラーメンを提供しました。

「誰もがまあまあ美味しいと思える味」です。これが一番の勝ち残った理由だと思います。

Q:立地はどうやって決めたのですか?

竹谷:当時は、日本人向けのラーメン店を考えていました。たまたま、日本食のスーパーが改装した直後、その上の階のテナントを探しているという紹介をもらって決めました。日本食スーパーの2階ということで、日本人と日本食ファンが来てくれるので最高の立地だと思いましたね。

竹谷氏のラーメン店が生き残った秘訣とは、ターゲット層に確実に当てる戦略をとったということだ。味付けにおいて、すごく美味しい味を目指さず、「誰もがまあまあ美味しいと思える味」を目指したのはそういう意図だ。

カラオケ店については、出店開業のタイミングが早かったのかもしれない。現在ではインドネシアカラオケもファミリーカラオケとしてすっかり定着しているが、当時のインドネシアで「カラオケ」と言えば、女性がいるホステスクラブのイメージが強かった。

ラーメン店を開業した場所(立地)については、タイミングがよかったと言える。

2.出店した海外での味つけと食材の仕入れ方法

海外飲食店味覚

海外で飲食店を成功させるためには、その国に住んでいる日本人だけでは難しい。どうしても現地の人の常連客が必要だ。在住している日本人だけが顧客では、売り上げはそれほど見込めない。そこで、竹谷氏のラーメン店がインドネシア現地の人に受け入れられるようになった要素を聞き出した。

Q:日本人向けの豚骨ラーメンが現地の人に受け入れられたのはなぜですか?

竹谷:最初は日本人向けとしてラーメンを作っていて、お陰さまでまあまあ繁盛しました。でもラーメン38に火がついたのはローカル(現地人)に受け入れられてからです。

出店場所の目の前に教会があったのです。日曜日の教会のお祈りの帰りに、現地のラーメン好きがいつからかお店に列をするようになっていました。

補足説明
インドネシアにも「ミーアヤム」という汁なしラーメンがある。下の写真のようにスープが別に付いてくるインドネシア風つけ麺である。主に屋台で売られていて、インドネシアでは庶民の食べ物だ。トッピングは炒めた鶏肉とわずかな野菜で、食べるときにはサンバルという辛いチリソースをたっぷり混ぜる。屋台での値段は日本円で80〜100円程度。

ミーアヤム

竹谷:インドネシア人好みの味ということで「辛いラーメン」をメニューに揃えました。「地獄ラーメン」と名付け、辛さもレベル3まで設定しました。僕は「レベル3なんか食べれないよ」と思っていましたが、現地の人たちからすれば「それほど辛くない」ということで、レベルを10にまで増やしました。責任持てない辛さですね。

地獄ラーメン

これがウケて「辛さレベルを選べるラーメン屋」ということで、その辛さに挑戦すべくインドネシア人たちがこぞって店を訪れるようになりました。ラーメン38なので、「辛さレベルは本当は38まであるらしい」という伝説がつくられるほどでした。噂が噂を呼んで、挑戦しに来る人が後をたたなくなったのです。

何がヒットするかなんてわからないものです。

Q:ハラルはどうしたのですか?

竹谷:ハラルは完全に無視ですね。豚を売りにしていたのでハラルはできません。インドネシア人の従業員はみんなモスリム(イスラム教徒)ですが、「もしも嫌だったら辞めろ」という気持ちで雇っていましたよ。

ハラル認証とは
ハラルとはイスラムの教えで「許されている」という意味。食品、化粧品、医薬品、服飾品などが対象となり、基本的に豚やアルコールを使っていない製品という証。ただし、国によってハラル認証方法は異なり、現在ではマレーシアが英語で国際規格をつくり広めようとしている。インドネシアでは「ハラル製品の保証に関する法律2014年33号」がある。

日本では、以下の団体がハラル認証を行っている。
・一般社団法人 ハラルジャパン協会:http://www.halal.or.jp/
・NPO法人 日本ハラール協会:http://www.jhalal.com/
・宗教法人 日本モスリム協会:http://www.jhalal.com/

Q:食材の調達はどこからですか?

竹谷:もともと貧乏な店だったので、輸入食材を一切使わず、地元食材を調達しました。また、ラーメンの麺についても自社製麺です。

一度、現地の製麺屋さんに頼んだ時期があるのですが、注文数量を守ってくれないとか、あきらかに太さが違う麺を納入してくるとかいろいろトラブルがあって止めました。例えば、300玉注文して、120玉しか持ってこないなんてことはよくありましたよ。

Q:製麺を作る専用の場所はあるのですか?

竹谷:今はありますが、当時は僕が借りていた家の2階で作っていました。僕が指導して、現地のスタッフが作っていました。まさに自社製麺所です。

Q:味付けはどのように品質管理していますか?

竹谷:僕が全部のメニューについてレシピを作っています。食材のグラム数から調味料など液体のccに至るまで細かくはっきりとレシピを作っています。そのレシピをスタッフに渡して調理させていますので、感覚では一切調理させていないです。

もともとインドネシアではラーメンは人気がある食べ物だが、屋台で売られている場合がほとんで安価な食事だった。だから「味」は二の次だった。そこに多少は値段が高くなるが「日本人が通う美味しいラーメン屋」といういままでなかったコンセプトを投入した。

また、目の前に教会があり、イスラム教でないインドネシア人のファンを呼び込むことができた。しかし、現在では非モスリム向けの豚骨ラーメン店がジャカルタでは乱立していて競争が激化している。そろそろ豚骨ラーメン店の淘汰が始まっているらしい。

3.海外飲食店の従業員の指導法

飲食店2
飲食店での従業員の指導や管理体制について聞いた。外国人を雇うということはどういうことだろう。

Q:外国人(現地人)従業員を雇っていて苦労した点はありますか?

竹谷:インドネシア人の責任感は、日本人のレベルでいうとアルバイトレベルです。日本の学生アルバイト程度の責任感しかないので、「お腹が痛い」といった程度で休んだりします。「自分がいないと店が回らない」という自覚持っている従業員はほんの1割ぐらいでしょうか。

その責任感のある1割の従業員をピックアップしていって、その割合を増やしていく取り組みを常にやっています。他の従業員は、契約が切れたら終わりです。意欲のある従業員を店全体の何割にするかどうかで、店が回っていくかは決まります。

ラーメン38グループ従業員全体で400人ちょっとぐらいですので、「いや~大変ですよ」

Q:管理側の日本人は何人いるのですか?

竹谷:多いときは12人の日本人がいました。今は5人です。

日本人がいるレストランというのは、インドネシア語ができない日本人の相手をしたり、注文を取ってあげたりという仕事と、クレーム対応ですね。やはり日本人は厳しいですから、出てくるのが遅いとか、こんな感じだったとか、コンプレインの対応として各店に一人日本人を配置していました。

お客さんからのコンプレインとして受け止めればコンプレインですが、アドバイスと思えばすぐに改善することができますね。「これ食べたけどこうだったよ」などと言われたら。それを伝えるためにも各店舗に日本人を入れていました。

Q:5人の日本人に減ってしまった理由は?

竹谷:辞めてしまったからです。定着させようと思えばできたんですけど、いろいろありまして。でも、これから増やしていこうと思っています。

飲食店をうまく運営するには、従業員の管理が一番気がかりなところだ。一般的には「インドネシ人は働かない」と言われているが、中には真面目でしっかり者もいる。彼らをしっかりと観察して評価し、指導を続けていくことがポイントになっていく。さらに、日本人の管理者も慎重に選ばなければならないことを教えてくれた。

なお、インドネシア従業員の管理方法については、インドネシア従業員を優秀な管理者に育成する5つのステップも参考になるので合わせて読んでほしい。

また、「インドネシア人のやる気を引き出す給与体系づくり7つの手順」という記事も参考になるかもしれない。ほかに参考になる記事としては、「インドネシア進出の中堅企業の給与と赴任手当相場比較(その1)」「インドネシア進出の中堅企業の給与と赴任手当相場比較(その2)」などがある。

さらに、人材募集に関しては「有能な人材を獲得する!求人広告の方法からクロージングまで徹底公開」の記事が役に立つだろう。

まとめ

海外で飲食店を出店開業し、成功するノウハウについてインタビューした2回目。今回はインドネシアでラーメン店を27店舗以上出店開業している経営者・竹谷大世氏に、
1.海外で飲食店が生き残る秘訣
2.出店した海外での味つけと食材の仕入れ方法
3.海外飲食店の従業員の指導法
という内容でインタビューした。

特に、飲食店の「味つけ」については、現地の味覚、趣向にマッチしたものでないと受け入れられないし、爆発的な売り上げは期待できない。もちろん立地も重要だ。また、運営面にはおいては従業員をよく観察し、責任感のある人材を選ぶことが大事であることを痛感させれた。

以上、「海外で飲食店を出店開業して成功するノウハウ【経営者インタビュー2】」をお伝えした。
次回につづく。

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