インドネシアビジネスで重要!インドネシア人世界観の光と陰【その1】

インドネシアでビジネスをするには、まず当事国の国民性、気質、性格を知ることが大切だ。何にでも裏と表があるようにインドネシア人が抱える矛盾する二面性を2回シリーズでお伝えする。その国民性や気質の表面的な部分だけを見ていたら大きな痛手を受けることになるからだ。
さらに異常に高い経済成長を続けているインドネシアの歪みも多く存在する。

インドネシアとの取引や進出する企業の経営者にぜひ読んでいただき、インドネシアの二面性を理解するとともにビジネスアイディアを探してほしい。緊急性のある悩み・苦しみ・痛みを解決することが、次のビジネスにつながるからだ。

なお、関連するインドネシアの諺(ことわざ)も載せておくので、参考にしてほしい。

・目次
【その1】
1.ビジネス編

1.始業時間には遅れるが、お祈りの時間は守る
2.競争は嫌いだが、一番になって褒めらることは喜ぶ
3.人前で怒られることを嫌うが、怒っている人がみんなから嫌われる
4.恥さらしにされたら、10倍返しする

5.ジャワ人は温厚で従順だが、バタック人は貪欲で指導力がある
6.会社は利益をあげることだが、会社にいるだけで給料がもらう権利があると主張する
7.「わかりました」と返事はするが、「やる」とは言っていない
8.管理者が見ている時は真面目だが、金曜のお昼はネットし放題

9.電話番号の記憶は得意だが、計算には電卓が手放せない
10.仕事はしたくないが、お金はほしい
11.給料は仕事をしてもらうが、お金は”探すもの”&”落ちてくるもの”
12.昇格はどうでもいいが、副業で稼ぐ時間が欲しい

13.華僑は嫌いだが、華僑の会社に就職したがる
14.賄賂はいけないが、みんなで分ければチップになる
15.他人にはお金がないことを知られたくないが、会社には昇給を要求する
16.一人では何もできないが、みんなが集まれば何でもできる

17.自分の失敗は隠すが、他人の失敗は厳しく言及する
18.他人にはルールを守らせるが、自分は特別でルールが適応しない
19.普段はおとなしいが、怒るとメチャ暴力的
20.黒魔術にやられたら、白魔術で清めればいい

21.騙すのは悪いが、騙される方が頭が悪い
22.人間は平等だが、大学卒は地位が高い
23.信じても良いが、信頼しすぎると裏切られる
24.砂糖があれば、蟻が寄ってくる
25.郷に入れば、郷に従う

【その2】
2.生活・お金編
3.男女関係編

1.ビジネス編

1.始業時間には遅れるが、お祈りの時間は守る

お祈り
[出典:mforum.cari.com.my]

よくインドネシア人は「時間にルーズ」とか、「ゴム時間(時間が延びること)」だ、と言われている。時間に関して無頓着なのかというと、そうではない。多くの人は腕時計を持っているし、携帯電話でも時間を気にして見ている。

特にお祈りの時間に関してはシビアだ。お祈りの時間になると町中のモスクから、”ハザーン”と呼ばれるお祈りの時間を告げるフレーズが響き渡る。毎日5回あるハザーンを子供の頃から聴き続けたインドネシア人は、イヤでも時間の感覚を身につけているのだ。

では、始業時間や待ち合わせの時間との感覚のズレは何かというと、”優先順位”だけが違うだけだ。始業時間よりも、お祈りや、個人的な用事の方が優先されるというだけだ。決して寝坊しているわけでもないし、仕事に行きたくないわけではない。

では、時間を守らせるにはどうしたらよいかというと、多くの人は「遅れたらペナルティーを与える」と考えてしまうが、逆の発想をすべきだ。「時間どうりに来たら、褒めてあげる」ということだ。私が提唱している”スタンプカード”がよい例になる。時間どうりに会社に来た、掃除に参加した、勉強会に参加したことによってスタンプがもらえる仕組みだ。

詳細はPDCAを定着させる方法を読んでほしい。

ゴム時間
Jam karet
時間はゴムのように延びる。縮むことはない。

2.競争は嫌いだが、一番になって褒めらることは喜ぶ

会社内で競争原理をつかって競わせることで業績をアップさせる手法がある。営業成績や生産数の達成度などだ。インドネシアではそういった「わざとらしい」競争原理には同意しないことが多い。しかし、結果として一番になったり、上位になったりすることは好きなのだ。例えば出勤率が一番であるとか、このラインの生産数が一番であるとかなどだ。

一番になることを目標とはしないで、「結果的に一番になった」という状況を生み出すことが管理職の腕のみせどころなのだ。

ポイントは、今やっている仕事がお金と直結していることを匂わせることだ。具体的にはスタンプカードカルト・テレマカシなどの目で見てわかるようにしておくことだ。

スタンプカード
朝の掃除や勉強会への参加するごとに、ラジオ体操のスタンプようにポイントがもらえるシステム。ポイントが貯まったら表彰や景品をもらえるモチベーションもアップする。

3.人前で怒られることを嫌うが、怒っている人がみんなから嫌われる

人前で怒られることは日本人でも嫌だ。その許容範囲が極端に狭いのがインドネシア人だ。仕事で叱っている上司は、「本人に間違いを認識してもらい、次に生かしてほしい」という親心から発するだが、インドネシア人はその親心を理解できない。それよりも「人前で怒られた」「恥さらしになった」という事実しか記憶に残らない。

さらに、それを見ている周りの人たちは、「怒られている人はかわいそう。怒っている人が悪い人」という印象を植え付けるだけなのだ。つまり、怒っている人は周りにいるインドネシア人全員の敵になってしまう。

怒っている日本人の上司は、周りの人もわかってくれると思い込んでいるが、その場にいる全員から「外国から攻めてきたエイリアン」のような敵対心しか感じられないのだ。

4.恥さらしにされたら、10倍返しする

10倍返し

人前で怒られたり、面目丸つぶれの状態、人前で恥ずかしい思いをさせられた時には、「その事」について反省する気持ちには全くなれない。それよりも、どうやって復讐しようかと頭の中でずっと考えている。「恥さらしにされた」と感じることが、一番の労働争議のもとになっている。

叱っている人は、仕事の改善を望んで学習してほしい、と思っているが、怒られている人は、恥さらしになっているとしか感じない。だから、「10倍返し」として会社の物品を盗んだり、労働組合に訴えたり、怒った人をfaecbookで誹謗したりする。

「辱めを受けるより、白骨をさらす事を選ぶ」というインドネシアの諺がある。つまり、死んでもいいから道連れにする覚悟があるということだ。

だからインドネシア人に対しては、叱ったり、怒ったりすることは厳禁だ。そのため、失敗や間違いを全社員に伝えたい場合には、第三者の目から見て「出来事」と「解決策」だけを話すことだ。決して個人名を出してはいけない。やった本人は、間違いだったんだと認識するだけで、間違いを修正することができる本能を持っているからだ。決して人前で怒ってはいけない。

辱めを受けるより、白骨をさらすことを選ぶ
Lebih baik putih tulang daripada putih mata
はずかしめを受けるより、死を選ぶ

5.ジャワ人は温厚で従順だが、バタック人は貪欲で指導力がある

インドネシアは島国であり、それぞれに地域によって宗教と性格が大きく異なる。バリ島はヒンデゥー教、ジャワ島はイスラム教、スマトラ島のバタック地方はキリスト教が多い。インドネシア人の中でもビジネス感覚に富み、指導的立場を好むのがバタック人だ。華僑以外で会社の指導者になる確率が多いのもバタック人だ。

しかし、温厚なジャワ人との相性はあまり良くない。バタック人は従わせようとして支配的であり、キリストの教えを醸し出しているからだ。バタック人を管理者として雇用する時には、ジャワ人との意思の疎通に注意が必要だ。そのためには、バタック人とジャワ人の話し合いの場をたくさん作ることがポイントになる。

6.会社は利益をあげることだが、会社にいるだけで給料がもらう権利があると主張する

従業員が会社に来る理由は、仕事をするためだ。その仕事とは「指定された場所(工場や事務所)」にいて、「手を動かしている」ことが仕事という概念だ。

会社が儲かっているかどうかは関係ない。商品やサービスを販売し、利益を上げることで給料が支払われるという理解ではない。会社に来て、手を動かしさえすれば、個人的なメールやネットサーフィンをしていても正当な給料が支払われて当然だということだ。

まずはこの世界観を受け入れることだ。

そして、どうしても仕事をやらざる環境を作らなければならない。例えば、工場などではベルトコンベアで自動的に動く、サービス業では時間ごとの売り上げがリアルタイムでわかるようにする、1日の顧客訪問数を決めて表にする、などが必要だ。

7.「わかりました」と返事はするが、「やる」とは言っていない

わかりました

よく会議などで、日本人の管理者が「わかったか?」と質問しているが、まったくのナンセンスだ。「わかったか?」の答えは、理解していようが理解していまいが、答えは「わかりました(Saya sudah megerti.)」という返事しかないからだ。「わかりました」という言葉の裏は、「聞こえました」ぐらいの意味合いしかなく、「やる」とは言っていないのだ。

だから、相手が本当に理解したのかを確認するには、その人を行動を観察するしかない。またはデモンストレーションをして、やらせてみることだ。実際に作業や指示したことをやっていないのは、管理者である日本人の管理ミスだと戒めることだ。

8.管理者が見ている時は真面目だが、金曜のお昼はネットし放題

インドネシア人は人目をすごく気にする。逆にいうと、見ていなかったら何をしても良い、サボっても良いと考える。私はある時、PPC広告を出してアクセス数を調べている時に、金曜日のお昼時に異常にアクセスが多いことに気がついた。金曜日のお昼には、イスラム教の男性がモスクに全員行くため、女性は事務所に残って仕事をしており、管理者が不在となるからだ。

だから、管理者の中には女性管理者を必ず入れて、金曜日礼拝の時には女性管理者に巡回させることが必要なのだ。もちろん夜間の場合には、ネット環境を切断するか、かなりの制限をかけておくことだ。

9.電話番号の記憶は得意だが、計算には電卓が手放せない

若いインドネシア人は記憶力が良い。特に女性は電話番号などの単純記憶に優れていると感じている。

しかし、計算にはめっぽう弱い。日本式の「九九」がないので、桁数が少ない計算でも電卓が必要になる。生産数量の合計や、出荷数の合計などにも電卓が手放せないのだ。インドネシアの中でも、記憶力が良いのに計算が弱いと感じている人は多く、公文式や坂本式の塾が流行っているのは当然の成り行きと言えるだろう。

・インドネシアのKUMON
http://id.kumonglobal.com/

・Sakamoto式数学塾
https://metodesakamoto.wordpress.com/

10.仕事はしたくないが、お金はほしい

多くの日本人赴任者は、インドネシア人が「仕事はしたくないが、お金はほしい」という概念をまず受け入れなければならない。お金を得るには仕事をするのが当然という日本人に概念とは異なるからだ。インドネシア人の優先順位が違っているだけだからだ。インドネシアの一般的な優先順位は、家族、その次は友達、その次は知り合い、その次に仕事がくる程度なのだ。決して仕事中心にはならない。

ただ、お金はほしい。だから、本来の仕事をせざるを得ない仕組みを構築することが必須となる。お金がもらえるという匂いがしたらすぐその方向に向くのだ。現実には、仕事をせずにお金がもらえる機会はたくさんある。

一番良い例が、選挙活動やデモなどの参加だ。選挙イベントに行くとお弁当とお小遣いがもらえて、さらにお土産としてTシャツやノートなどがもらえるのだ。私が提案しているスタンプカードやカルト・テレマカシも、ポイントを集めることによってお金になるということを匂わせているからイヤイヤながらやるのだ。

カルト・テレマカシ
Kartu Terimakasih
ありがとうカードのことで、何かを手伝ってもらった、仕事をよく頑張った、契約を取ってきてくれた、などなんでも良いので感謝の気持ちをカードに書いて伝え、さらに見えるようにしたシステム。

11.給料は仕事をしてもらうが、お金は”探すもの”&”落ちてくるもの”

求職活動のことを、「お金を探す(Cari uang)」という表現が一般的だ。会社でしっかり仕事をして、給料をもらうことではない。落ちているお金を拾い上げる行為が仕事なのだ。

求職が”お金を探す行為”だとすれば、お金が落ちてくることもある。

一例は選挙活動の参加だが、屋台の貸し出しなどて利益を得るビジネスも全国にある。小資本で屋台を買い、それをレンタルする。売り上げの一部を貸主に還元するものだ。こうした小資本のビジネスはいたるところに存在しており、お金は自然に落ちてくるものと認識するのは当然だ。

12.昇格はどうでもいいが、副業で稼ぐ時間が欲しい

日本の高度経済成長期のような、会社で昇格して給料を上げようという意欲は殆どない。それは、毎年最低賃金が15%以上も上昇し、給料は”自然に上がる”からだ。しかし、多くのインドネシア人が感づいているのは、給料が上がっても物価も同時に上がるので、生活は苦しいままだということだ。

ただ、会社勤めをすることは、付随する社会保障が非常に魅力的なのだ。家族を含めた健康保健に加入でき、レバラン手当などが確実にもらえることは大きな安心感につながる。プラス生活を向上させるためには、会社以外でお金を稼ぐことしかない。つまり副業だ。

一度調べてみるとわかるが、殆どの従業員は副業をしている。例えば、携帯電話のプリペイド料金の仲介、ガソリンやオイルの販売、屋台などの貸し出しによる賃料、ゲーム機などのレンタル業などだ。結果的に、会社での仕事は「安定した収入と社会保障のため」であり、生活の糧は副業からというのがすでに常識になっているのだ。

13.華僑は嫌いだが、華僑の会社に就職したがる

華僑

インドネシア人の3.5%程度は中華系移民の華僑だと言われている。その3.5%の人口が、富の80%を握っているとも言われている。はっきりした数字は出ていないが、感覚としてはあっていると思う。街の商店から、大企業の殆どが中華系の社長や会長が占めている。

華僑はお金を稼ぐ能力に長けており、拝金主義的なので、他のジャワ人やスンダ人からみると尊敬したい人間だとあまり思われていない。ジャカルタ州知事のアホック氏は中華系であるため、現地報道からみても明らかにネガティブな声が多い。

ただし、会社に勤めるとなると話は別になる。華僑の会社がインドネシアに根付いているし、就職しやすく一番安定しているからだ。外資系企業は、高いリターンが望めるがリスクも大きい。ひと昔前は日系企業が人気ではあったが、ソニーの撤退や長時間労働、最近は日系化粧品工場の火災による人身事故によって、人気は下がりつつある。韓国系は給料が支払われなかったり、経営者が夜逃げするなど、以前から評判はあまり良くない。

14.賄賂はいけないが、みんなで分ければチップになる

ユドヨノ大統領時代に、汚職撲滅委員会が発足され、かなりの効果が出ていることは事実だ。ただ、この委員会は大きなお金が動く案件しか扱っていない。まだまだ市民レベルでは賄賂は残っている。国民の多くは「賄賂はいけないこと」との認識はある。しかし、なんらかの行政手続きを早めてもらう、注文を得るため、警官に見逃してもらう、等においては金銭を渡す行為は多く存在している。

受け取る側の意識としても、もらったお金をすべてポケットに入れるわけではないので、賄賂であるとは認識できないのだ。

日本では、会社間の繋がりを強固なものにするためにお歳暮やお中元を渡して、「貴社で分けてくださいね」という感覚と似ている。それが、お菓子なのか、現金なのかの違いだけだ。

つまり、受け取った方は「チップ」ぐらいにしか思わないのだ。チップによって1週間かかっていた手続きが2日になれば、時間短縮になり、あげた方も利益があるからだ。

ただ、市民レベルにおいても収賄行為をなくしていこうという風潮に傾きつつある。

15.他人にはお金がないことを知られたくないが、会社には昇給を要求する

面子(メンツ)を異常に気にする人が多い。例えば、幹線道路を歩いているだけでも、すこし恥ずかしい思いをするという。車やバイクなどの移動手段を使わないのは貧乏人だと思われるからだ、と友人から聞いたことがある。道を歩いているのは、物乞いや交通整理のおじさんみたいに見えるからという理由だ。

持ち物にも異常に気にする。例えば時計や携帯電話の機種によって、お金持ちかどうかのランク付けがある。最近では、iphoneを持っているのはお金持ちで、ブラックベリーを持っているのは「どうせ中古だろ」とすこし下に見られる。

ただ、会社に対しては、「給料をあげろ!」という意識は常に持っている。特に最低賃金の改定がある年末には、この話題で持ちきりだ。県や州の最低賃金の改定手順や物価計算の方法などはかなり詳しい情報を手に入れている。

経営者はいち早く最低賃金の改定情報を入手し、給与改定作業に入ることが、従業員の不満を解消する大きな取り組みの一つだ。

16.一人では何もできないが、みんなが集まれば何でもできる

みんなが集まれば
[出典:apriliaisme.wordpress.com]

最初のきっかけは、独立運動から始まり、9月30日事件、大統領選挙からもうかがえる。新興国では唯一といってもいいほど大統領選挙は大きな混乱もなくメガワティ、ユドヨノ、ジョコウィーと続いているからだ。不正の噂はもちろんあるが、選挙によって暴動や大規模で暴力的なデモも起こっていない。さらに、ジョコウィー大統領は軍出身者でもなければ、財閥でもない、経営者出身だからだ。

つまり、一人の力は小さいがみんなが集まると何かができると感じているのだ。

会社においてはデモやストライキは大きな脅威になる。現実、撤退した日系企業の多くは労働問題がこじれた結果が多い。だから進出企業においては、従業員とよく話会い、理解を深めることが、唯一の労働問題の予防につながることを肝に命じなければならない。具体的には「インドネシア駐在で経験したから言える6つのストライキ防止法」を読んでほしい。

17.自分の失敗は隠すが、他人の失敗は厳しく言及する

インドネシア人も人間だ。失敗したこと、自分が犯してしまったミスについては隠したがる。それは怒られるからだ。

逆に言うと怒られないのであれば、失敗は隠さない。例えば、工場のラインで不良を発見した時や自分で不良を作ってしまった時には、ラインを止める権利を与える。そして、ラインリーダーが来て原因を調べるのだが、作業者には決して怒らないし責任を追及しない。ラインリーダーには、作業者に「ありがとう」ということを徹底させることだ。

「私たちは気がつかなった問題を見つけてくれて、ありがとう」という意味だ。これを繰り返していくことで、失敗は隠さなくなるのだ。

18.他人にはルールを守らせるが、自分は特別でルールが適応しない

他人がルールを守らないと正論をかざして相手を責める。例えば、会社での朝礼に遅刻した人に対しては、避難の目が向けられるし、責任を取れせようとする。しかし、遅れてきた本人は、すんなりとは認めようとはしないし「ちょっとしか遅れていない」とか「トイレが混んでいた」などと、言い訳をして自分にはルールを適応しないと説得にかかるのだ。

諺として「海原の向こうの小さな塵は見えても、目の中の像は見えない」というのがある。

こういった風景は公道でもよくみかける。警察の検問に対して、ヘルメットをかぶっていなかったのは近所だったから、スピードを出していたのは家族が病気だったから といった言い訳だ。

だから、会社内においてのルール作りにおいては、できるだけ実例をあげて記入しておくことで、ルールの網を抜けることを防ぐことができるようになる。例えば、朝礼であれば、「チャイムが鳴り終わるまでに列に並ぶこと」または「8時30分00秒には朝礼のエリアにいること」などだ。

海原の向こうの小さな塵は見えても、目の中の像は見えない
Kuman di seberang lautan tampak, gaja di pelupuk mata tidak tampak.
他人の間違いや足りないところは見えるが、自分自身の間違いは見えない

19.普段はおとなしいが、怒るとメチャ暴力的

メチャ暴力的
[出典:hariansib.com]

インドネシア人は寛容で、親切だと言われている。全体的には確かにそうだと感じる。よく聞く言葉は「大丈夫だよ( Tidak apa-apa)」で、許してあげたり、なんてことないよ、という雰囲気を出している。

ただし、一度怒ると、どう猛な狼のように変身する。例えば、車でぶつけられた時には、当事者同士がもうすこしで殴り合いをするくらいに大声で喧嘩を始める。他には、「ドロボー!」と誰かが叫び、逃げる人を見かけたら、周りの人が一斉に追いかけて、捕まえてボコボコにする。実際にその人が本当に物を盗んだかどうかがはっきりしていなくても、近所の人に殴られて死んでしまったというニュースもあるくらいだ。

会社関係においてこの傾向があるのは、労働問題が発生した場合のデモだ。日本のストライキのようにおとなしくはない。工場周辺を暴走族のようにバイクで囲み、大音量のスピーカーでの不正内容を騒ぎ立て、投石や放火に至る。工場内部に入り込み、パソコンなどの物品を盗む、壁を破壊するなどの暴力的な行為になっていく。

このような状態に成ってしまったら、理論も理屈もない。命を守ることに徹することだ。

そうならないように対策をしておくことが進出企業の最重要課題だと言える。対策については、インドネシア駐在で経験したから言える6つのストライキ防止法を読んでほしい。

20.黒魔術にやられたら、白魔術で清めればいい

「黒魔術はいる」と信じている人がほとんどだ。霊感が強いのか、迷信なのかはわからないが、以前いた工場でも発生した。ある作業場のエアコンの上に「髪の毛の長い女の人が座っている」という話が複数人からあった。

対策としては、白魔術師にお願いしてお祓いをしてもらった。

あるデリバリーサービス会社では、商品をバイクで届ける作業中に黒魔術に襲われて、商品と携帯電話2台がなくなった、ということだった。本人は「今まで、どこにいたのかわかりません。今、気が付いたらここにいたんです」と言った。日本人管理者は「そんなことはないだろう」と追及したが、結局商品も携帯電話も戻ってこなかった。管理者はウソついて携帯電話を盗んだと思ったからだ。しかし、周りのインドネシア人は、「黒魔術が出たか・・・」と信じているのだ。

21.騙すのは悪いが、騙される方が頭が悪い

インドネシア人は物心ついた頃から、騙され続けられている。それは日本人の比ではない。よく人懐っこいとか、すぐ友達になるという性格だと思われているが、内面では騙されないかどうかを見極めているのだ。

例えば、アクセサリーやカメラなどの物品から、手続き詐欺やマルチレベルマーケティング詐欺などだ。最近では、ネット販売の詐欺に遭うことがニュースで頻繁に報道されいる。だから、インターネットでクレジットカードを使って買い物をすることをためらっている人も多いのだ。諺にも「石の後ろにはエビがいる」「鶏の羽をまとったジャコウネコ」というのがある。いずれも、上手い話には裏があるということだ。そして、騙された方が頭が悪いというのが一般的な考えだ。

石の後ろにはエビがいる
Ada udang di balik batu
上手い話には裏がある

鶏の羽をまとったジャコウネコ
Bagai musang berbulu ayam
善人のフリをする悪人の意

22.人間は平等だが、大学卒は地位が高い

大学卒業
[出典:triehartanto.blogspot.com]

人間は平等だという諺がある。「立っては同じ高さ、座ってはは同じ低さ」という平等を表す諺だ。確かに人間は平等ということはインドネシア人も理解できるが、現実社会に於いてはそう簡単ではない。会社に就職するときにはやはり大卒が優遇されるし、政府機関においては大卒が条件になっている。

しかし、採用する企業側においてはこの大学卒業という学歴が厄介ものだ。

大学を卒業できるのは、一部の比較的裕福な人だけだからだ。入学は誰でもできるし、卒業もお金を積めば卒業証書が発行される。お金がある人が大学に行けて、お金がない人は大学に行けないし、卒業もできないということだ。

このような状況を知っていても、会社内では給与体系から、大学卒業者に管理職などの役職を与えことになる。大学卒業=十分な知識がある というのは幻想だということを理解しなければならない。従業員の間でも、大卒者はそれ以下の学歴者との間に、大きな上下関係が存在することも事実だ。

立っては同じ高さ、座っては同じ低さ
Duduk sama rendah, berdiri sama tinggi
平等で上下の差がない

23.信じても良いが、信頼しすぎると裏切られる

会社内で優秀な管理者や仕事のできる人にはどうしても目をかけてしまう。特に、気がきく通訳やリーダーシップがある管理者に頼ることが良くある。人を信じることは良いが、信頼しすぎて昇給しすぎたり、仕事を丸投げすることは危険だ。内情をよく理解しているので、会社の弱点がわかっているからだ。

例えば、法的な知識が低い、違法行為をしている、従業員に過重労働をさせているといったことだ。管理能力があるということは、人を先導できる能力があるということになり、デモやストライキの中心人物に豹変する可能性も高いからだ。

昨日まで信頼していた人が、今日は組合リーダーとして、団体交渉に臨む場合もよくあるからだ。内情を詳しく知っているからこそ弱みに付け込むことができてしまうのだ。

諺に「柵が作物を食う」という意味は信頼していた者に裏切られるという意味だ。信じることは良いが、信頼しすぎると裏切られることを常に意識していかなくてはならない。

柵が作物を食う
Pagar makan tanaman
信頼していた者に裏切られる

24.砂糖があれば、蟻が寄ってくる

蟻が寄ってくる

お金があるところには人は集まってくるという諺だ。インドネシア人はおカネの匂いも敏感だ。最近では、ネットと使ったデリバリーやバイクタクシーの「ゴジェック(Gojek)」がジャカルタを中心に広がっている。利用客は、従来のバイクタクシー(オジェック)の不安定な料金に飽き飽きしているので、その場での現金のやりとりはなく、携帯から予約できるシステムが好評だ。

そのドライバーの募集には長蛇の列だったのだ。まさに、「砂糖があれば蟻が寄ってくる」といった雰囲気だ。

砂糖があれば蟻が来る
Ada gula ada semut
お金持ちから利益をもらうために人が集まってくる

25.郷に入れば、郷に従う

日本式のやり方、考え方をそのままインドネシアに持ち込んでも絶対にうまくいかない。しかし、日本で成功した経験があるののでどうしても、そのやり方に固執してしまう傾向がある。特に飲食は全く違う文化だ。日本人は出汁の味などで味覚が繊細なのだが、小さいことから”唐辛子を丸かじり”してきたインドネシアには「味がない」と思われる。

インドネシアに進出するということは、外国ではなく「宇宙人とビジネスをやっている」ぐらいの感覚が必要なのだ。

ヤギ小屋に入ったらメーと鳴き、牛小屋に入ったらモーと鳴く
Masuk kandang kambing mengembik, Masuk kandang kerbau menguak.

インドネシアビジネスで重要!インドネシア人世界観の光と陰【その2】に続く

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