海外の雑貨を個人輸入して、日本のネットショップで販売したい方のために、1人で始められる「個人輸入の事業」の開業届けの提出方法と、確定申告のときに得をする青色申告の提出方法について詳しく解説する。
広く海外輸入ビジネスをしようとする方、これから始めようとする方もぜひ参考にしてほしい。
さらに、海外から個人輸入したものを、Yahoo! ショップや楽天市場などのネットショップを開店し、販売していくためには、「個人事業主」や「法人」であることが必須の条件になっているので、ぜひ目を通してほしい。
「個人事業」と聞くとなにかとハードルが高いように感じてしまうが、「個人事業の開業届」(以下「開業届」という)を税務署に提出するだけで、個人事業主になることができる。この記事を参考にして記入すれば、税務署からの質問もまったくなく、約1分で完了することは実証済みだ。基本的にこれで個人輸入の事業開業の登録は終わりとなる。
個人輸入事業で「個人事業の開業届」をするメリット
・手数料などの費用がかからない
・個人事業主になれば、ネットショップをオープンでき、輸入品を販売できる
・ビジネス取引でも信用度が上がる
・多くの費用を経費として計上でき、税金を少なくできる(節税メリット)
もし、利益が1,000万円を超えるようであれば、次の年から株式会社や合同会社などの法人にすれば良いし、利益が少なくてやめる場合でも「個人事業の廃業届」を出せばいい。「個人事業の開業届」は、煩雑な手続きや費用も必要なく、非常にリスクが少ない方法と言える。
さらに1年間の事業所得が290万円を超えなければ個人事業税がかからないし、青色申告をすれば65万円の所得税の控除を受けられる。さらに、1,000万円までは消費税の納付が免除される。
個人事業主が納める税金は、「所得税」「個人事業税」「消費税」「住民税」「固定資産税」が主なものとなり、申告方法、計算方法、納税時期、控除などが細かく分かれている。今後、具体的な節税対策の方法についても解説していくので参考にしてほしい。
[年間売上げと税金の関係(イメージ図)]
今回は個人事業としてスタートするための「開業届」と、同時に提出する「所得税の青色申告承認申請書」(以下、「青色申告申請書」という)の作成方法について徹底解説する。
1.提出する書類

一人で個人事業を始める場合には、住所地の地方税務署に「開業届」と「青色申告申請書」の2枚を提出するだけで済む。法人の設立のように、定款や登記簿謄本など煩雑な書類を準備しなくてもよい。
その場で記入事項を確認してもらい、受理されれば「個人事業主」になれる。記載内容が重複している部分が多い「青色申告申請書」も同時に提出することによって、記入する手間も、税務署にいく時間も節約できる。いずれも無料。
青色申告とは
決められた簿記の方式で帳簿を記帳し、その記帳に基づいて収入金額、所得金額、控除額等を計算し、納税額を税務署に申告する確定申告の一つ。以前はその用紙が青色だったため、「青色申告」となっている。その他には「白色申告」がある。簿記方式を複式簿記にすることで、所得税の控除額が65万円になる(白色申告の控除額は10万円)。現在ではパソコンソフトが数多くあり、専門的知識がなくても、カンタンに青色申告の書類を作成できる。
1-1 開業届
住所地(住民票がある住所)の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する。住所地以外の事務所を開設する場合には、事務所の住所を納税地にすることは可能。ただし、レンタルオフィスなどを使用する場合には注意が必要なので、のちほど詳しく説明する。
[税務署の場所:国税庁HP] https://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htmネットビジネスでは開業届を提出しないで事業をしている人がいるが、最悪の場合は銀行口座の取引内容から査察が入り、過去数年間にさかのぼって課税されたり、膨大な遅延金(年14.6%)を支払うことになってしまう。事業として始めるには、開業届を提出し、きちんと確定申告をして税金を納めることが大切だ。
[延滞税の計算方法:国税局HP] https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/entaizei/entai.htm個人事業として開業する一番のメリットは、節税ができる点だ。まず事業所得税について65万円の特別控除が受けられる。年間所得が290万円以下の場合には事業所得税そのものが控除される。
1-2.青色申告申請書
住所地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する。所得税の申告は「これから青色申告書によって申請する」ということを税務署に申請し、承認されれば、その年から所得税の確定申告は青色申告となる。
青色申告承認申請書とは
確定申告で、青色申告をすることを宣言し、承認してもらうための書類。青色申告を開始するには「青色申告承認申請書」を提出して、受理される必要がある。次年度以降は青色申告となる。廃業して個人事業を終了する場合には、「青色申告取りやめ届出書」を提出する必要がある。
青色申告で複式簿記方式を選択することで、所得税控除の65万円が可能となる。青色申告申請書を提出しないと、自動的に白色申告となり、所得税控除が10万円しか受けられないので必ず提出してほしい。
青色申告するには、お金の動きに関して帳簿をしっかりとつけなくてはいけない。が、現在では、青色申告用のパソコンソフトやネット上のサービスを利用すると簡単に作成できるようになっている。
主なパソコンソフトは以下。
・MFクラウド確定申告 (https://biz.moneyforward.com/tax_return)
・freee(フリー)(http://www.freee.co.jp/)
・やよいの青色申告オンライン(https://www.yayoi-kk.co.jp/products/aoiro_ol/index.html)
個人でネットショップを開業して個人事業を始めるには、この2つの書類を税務署に提出だけで「個人事業主」となり、公的にビジネスを始めることができる。
2.開業届の記入方法
2-1 フォームのダウンロード
国税庁ホームページから開業届のフォームをダウンロードする。以下、開業届のフォーム。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/04.pdf
2-2 PDFファイルを開き、パソコンでインプットする
プリントアウトして、手書きでも可能。
2-3 入力
①現住所の税務署名を記入する
現住所の税務署の名前は、国税庁ホームページを見て入力する。
[全国の税務署名:国税庁HP]
https://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htm
②提出する日を記入
開業届を税務署に提出する日を記入する。
提出する日は、事業を開始した年月日の2ヶ月以内にしないと、その年度については「青色申告」と承認されず「白色申告」になってしまう。青色申告は次年度からとなる。また、提出する日によって、その年度の事業税の控除額が変わってくるので、後述した青色申告申請書の[4.本年1月16日以後に新たに業務を開始した場合、その開始した年月日]の項目を読んでほしい。
③「納税地」を記入する
(1) 納税地の選択
住民票がある「住所地」に◯印をする。
・住所地:住民票があり住んでいるところ
・居所地:国内に住所がなくて居所(いどころ)がある人
・事業所等:国内に住所または居所があり、しかも他の場所に事業所がある人
「居所地」を事業所にする場合には、住所がある税務署と、居所または事業所の所轄する税務署の両方に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出する必要がある。
[所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書:国税庁HP] https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/05.htm(2)納税地の住所を記入
郵便番号、住民票に書かれている住所、ふだん使用する電話番号(携帯電話でもOK)を記入する。
納税地は「個人を特定し納税してもらう」ことが目的であり、事業所を特定するわけではない。ただし、税務署の管轄が決まっているので、どの地方税務署に納税するかを決めなければならない。
例えば、埼玉県に住所(住民票)があり、事務所が東京都にある場合には、どちらの税務署に納税するかを決めておかなくてはならない。基本的には住民票のある住所地にする。
バーチャルオフィスやレンタルオフィスなどは、納税地としては認められない。自分の住所を知られたくない、ネットで公開する住所をレンタルオフィスなどにしたい場合には、この下の[上記以外の住所地・事業所等]に記入する。
④「上記以外の住所地・事業所等」
納税地以外に住所地や事業所等がある場合は、その住所と電話番号を書く。レンタルオフィスや営業所などがある場合には記入する。
開業届の提出後に事務所を移転したり、新設(レンタルオフィス等を含む)する場合には、このあとに書かかれた「届出の区分」の「事務所・事業所の(新設・増設・移転・廃止)」の欄に記入して、再度提出すればよい。
⑤「氏名、フリガナ、生年月日」を入力し、プリント後「捺印」する。
印鑑は「認印」(ゴム印・シャチハタ印は不可)を押印する。印鑑証明書の提出は必要ない。
なお、屋号名と個人名を合わせた銀行口座も開設できる(一部銀行では不可)ので、統一するために個人名の「銀行印」でも可能。
「屋号名と個人名を合わせた銀行口座名」とは、屋号名が先に記載され、その後個人名が記載される通帳あるいは、振込時に表示する名前のこと。
例えば屋号が「バリ雑貨屋」で、個人名が「島田 稔」の場合には、「バリザッカヤ シマダミノル」と表示される。
屋号名と個人名を合わせた口座を開設できる金融機関は以下。
・三井住友銀行
・三菱東京UFJ銀行
・みずほ銀行
・りそな銀行
・ゆうちょ銀行
・楽天銀行
・ジャパンネット銀行
ただし、銀行によって提出する書類や窓口でしか受け付けない場合があるので、開設する銀行に問い合わせてほしい。
⑥「職業」を記入する。
雑貨を個人輸入してネットショップで販売する場合には、「雑貨・輸出入販売」または「物品販売業」と書く。この職業によって個人事業税の税率が変わってくるが、ほとんどの都道府県において物品販売業の個人事業税は5%となる。
・業種別の個人事業税の一覧表は以下を参照。
・東京都の個人事業税は、第一種事業の37業種が5%、第ニ種事業(畜産、水産、薪炭製造業)が4%、第三種事業の30業種5%(あん摩等医業に類する事業及び装蹄師業は3%)となる。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/kojin_ji.html
・神奈川県
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/kenzei/p13806.html
・埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0209/z-kurashiindex/z-2-4.html
・千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/zeimu/aramashi/shurui/kojin-jigyou.html
・大阪府
http://www.pref.osaka.lg.jp/zei/alacarte/kojnjgyo.html
・長野県
http://www.pref.nagano.lg.jp/zeimu/kurashi/kenze/aramashi/aramashi/kojinjigyo.html
その他は、都道府県のホームページを参照してほしい。
⑦「屋号」を記入
法人の場合には「会社名」になり、個人事業主の場合には「屋号」という名称を使っている。「屋号」と「お店の名前」は別になってもよい。屋号の場合にはかなり自由に名前をつけることができます。
ただ、以下の注意すべき点があります。
(1) 法人を連想させる名前はNG
「◯◯株式会社」、「◯◯法人」、「◯◯銀行」、「◯◯コーポレーション」、「◯◯カンパニー」などは、法人をイメージさせるので許可されない。また、これらの英語表記「ABC CO.LTD」などもできません。「◯◯オフィス」、「◯◯グループ」「◯◯事務所」はOKです。
(2)すでに有名な企業名と同一または類似している場合はNG
例「ソニー」「パナソニック」「ユニクロ」などはNG
(3) 同一市町村内で、同一の業種業者で、同じ屋号は可能
法人の「会社名」の場合には、同じ市町村内で、同じ業種では1つしか登録できないが、屋号では可能となる。しかし、同じ市町村内で同じお店の名前があったら、あまり良い気持ちはしない。同じ屋号が使われているかどうかは、地方の法務局で屋号調査を行うことができる。調査閲覧は無料。
*法務局・地方法務局の所在地一覧
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji10.html
または、以下「特許情報プラットフォーム」で簡易検索する。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
例えば「ユニクロ」の登録商標を検索すると、48もの登録商標がされている。
名称の使用を独占するためには「商標登記」をいう手続きが必要になる。手続きは煩雑で、登録料だけでも5年で21,900円が必要。許可が下りるまでに半年以上かかるので、ほとんどの個人事業の「屋号」は商標登録はしていない。
詳細は、「特許庁の商標登録出願等のガイドライン」を参照してほしい。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/1308-066.htm
(4) アルファベット表記はOK
アルファベットだけ、アルファベットと日本語の混合の表記でもよい。輸出入の手続きや取引上、あまり長すぎない屋号をオススメします。
例:「ABCマート」「Bali ethnic」はOK.
(5)屋号と店名とで異なる名前でも可能
お店の名前は、屋号とは別に自由に決めてもよい。「屋号」は、「会社名」と同じ考えです。例えば、お店の名前は「ユニクロ」ですが、会社名は「株式会社ファーストリテーリング」となっていることと同じです。
(6) 法人になっても使えるようにする
せっかく事業を始めたのですから、今後法人化することを想定し、「株式会社◯◯(屋号名)」となっても、違和感がないようにする。輸入販売する場合には、アルファベット表記にしてもわかりやすい名前にしておく。
例えば、屋号が「バリ雑貨屋」の場合、そのまま会社名にしたら「株式会社 バリ雑貨屋」となり、ちょっと違和感がある。そこで、屋号を「Bali ethnic」、会社名を「株式会社 Bali ethnic」のほうがまだよい感じがする。好みとセンスのことなので自由に決めてほしい。
(7) URLに関連づける
例えば、ユニクロの場合、URLはhttp://www.uniqlo.com/jp/と「uniqlo」と「ユニクロ」が連携しているので、検索しても引っかかりやすい。モール型ネットショップであっても、お店ごとのURLは一部自由につけることができるので、関連付けられるようにしておく。

⑧「届出の区分」
「開業」を◯印で囲む。
なお、設立後に事務所や事業所の新設・増設・移転・廃止などの場合には、それぞれの項目に◯印をして提出する。
⑨「所得の種類」
「事業(農業)所得」に◯印をする。
不動産所得や山林取得がある場合には、それぞれに◯印をすること。
⑩「開業・廃業等日」
開業した日を記入する。実際に取引などを始めた日がよいが、提出日より1ヶ月以上前の日付の場合には許可されない場合がある。どうしても遅れて提出することになってしまったら、空欄にしておき、税務署で相談すること。
⑪「事務所等を新増設、移転、廃止した場合」
開業には関係しないので、記入しない。
設立後に変更等があった場合には、「新増設、移転後の所在地と移転、廃止前の所在地」を記入する。税務署では、どの所轄の税務署になるかを決めているので、所轄外に移転した場合には、移転先の所在地が納税地になる可能性があるからだ。
開業届を提出した後に事務所やレンタルオフィスなどを借りた場合には、前述の「届出の区分」で「新設」にして、この欄も「新増設」に◯印をして、所在地を記入する。
⑫「廃業の事由が法人設立に伴うものである場合」
開業には関係しないので、記入しない。
今後、利益が多くなり個人事業から法人にする場合、その設立法人名、代表者名、法人納税地、設立登記の年月日を記入することになる。
⑬「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」
(1)「青色申告承認申請書」または「青色申告の取りやめ届出書」
「有」に◯を囲み、「青色申告のとりやめ届出書」に2本線を引く。
青色申告をすることによって、事業所得税を65万円控除できる。青色申告申請書を提出しない場合には、確定申告するときに、自動的に「白色申告」となり控除額は10万円になってしまう。
確定申告とは
税金には、消費税、所得税、固定資産税などがある。その中で「所得税」の税金を計算し納める手続きのことを「確定申告」という。毎年1月1日から12月31日までの収入や所得をすべて合計し、保険料などの控除をして、税率かけて納める税額(所得税)を計算します。そうして計算した申告書とその計算の元となる書類をつけて、次の年の2月16日~3月15日に税務署に提出し、納税する。
確定申告には、申告書A、申告書B、申告書第三表(分離課税用)とあり、青色申告の場合には「申告書B」を使用し、青色申告決算書や年金や生命保険料の控除証明書などを添付して申告する。
(2) 消費税に関する「課税事業者選択届出書」または「事業廃止届出書」
「無」に◯を囲む。
消費税に関する課税事業者とは
税務署に「消費税分を納付します」という申告書を提出し、消費税を税務署に納付する個人事業や法人のことをいう。課税売上高が1,000万円以上の個人や法人になる。その金額に満たない場合でも、課税事業者として申告するすることができる。売上金額や設備投資額の推移、輸出入業者など特異な場合に限り、節税に効果がある。
個人事業の開業の場合には、2年間は消費税の納税義務が免除される。さらに、課税売上高が1,000万円を超えた次々期に消費税の納税義務が発生します。逆にいえば、課税売上高が1,000万円を超えなければ、消費税を納税する必要がない。お客様から消費税として8%を上乗せして販売したとしても、納税しなくてもよい。
初年度から1,000万円を超える売上が予想される場合には、消費税を節税するために課税事業者という選択が可能で、これを申請する届けが「課税事業者選択届出書」になる。この書類は開業時でなくても届出が可能なので、今回は「無」にします。
なお、消費税に関しての詳しい説明は、今後していきますので参考にしてください。
⑭「事業の概要」
「職業」の欄において、書いた職業の具体的な内容を書く。
例えば「雑貨・健康食品類の輸出入及び販売に関する業務全般」と記入する。
またはネットショップに特化した場合は、「雑貨・家具類・インテリア・アクセサリー類の輸出入及び販売(インターネット販売も含む)に関する業務全般」となる。
なお、実際に輸入や販売の関して規制が多い以下は書かないほうがよい。
輸入規制や販売に関する規制があるもの
食品、健康食品、酒類、食器、調理器具、化粧品、医薬品、家電製品、ライターなどの高圧ガス製品、花火や火薬製品、おもちゃ、CDやDVD、ペット類、武器、原子力関連製品、ワシントン条約に規定さているワニ革、象牙製品
これらの規制や許可などについては、今後解説していくので、参考にしてほしい。

⑮「給与等の支払の状況」
基本的に一人ですべての作業をやるので、ボールペンで斜めに線を引く。その他参考事項の欄に「給与等の支払無し」と記入する。
給料を支払って家族や従業員を雇う場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」と「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、家族の場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」などを提出し、「源泉徴収簿」を作り管理する必要があります。
これを一人でやるにはなかなか大変なので、できるだけ従業員を雇わず、できる範囲でビジネスをすることをオススメします。
⑯「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」
従業員を雇わず、源泉所得税も発生しないので、「無」に◯を囲む。
⑰「給与支払を開始する年月日」
従業員を雇わず、給与の支払がないので、記入しない。
⑱「関与税理士」
この書類を記入するにあたって税理士に依頼した場合は記入する。今回は一人に記入したので、記入しない。
⑲税務署整理欄
提出時の税務署員が記入するので、申請者は記入しない。
以上で、個人事業の開業届の記入は完了する。
3.青色申告承認申請書
3-1 フォームのダウンロード
国税庁のサイトから青色申告承認申請書のフォームをダウンロードする。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/09.pdf
3-2 PDFファイルを開き、パソコンで入力する。
プリントアウトして、手書きでも可能。
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3-3 入力
①から⑦までは、前述の「個人事業の開業・廃業等届出書」の内容と全く同じ内容を記入する。
①現住所の税務署名を記入
②提出する日を記入
開業届で「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」に「有」と記入した場合には、同じ日付にする。開業届以降に提出の場合には、税務署に提出した日にちを記入する。
③納税地を記入
④上記以外の住所地・事業所等
⑤氏名、フリガナ、生年月日を入力し、プリント後に捺印
⑥職業を記入
⑦屋号を記入
ここまで①~⑦項までは、「個人事業の開業・廃業等届出書」の記載内容と同じにする。

⑧[平成__年分以降の所得税の申告は、青色申告によりたいので申請します。]
この年度の空欄には、「申告書を提出した年」を記入する。
株式会社などの法人の場合、会計年度の期間を自由に決めることができる。多くの法人の会計年度は、4月から始まり3月で終了する。よく3月に決算セールをやるのも、会社の会計年度の最後3月以内に売上を上げたいからだ。学校の年度も4月~3月になっている。
しかし、個人事業の年度は、「1月1日から12月31日」と決められている。そして、所得税の計算年度も同じになっている。例えば、「平成28年度」というと、平成28年1月1日から平成28年12月31日までの所得について課税するということだ。
⑨[1.事業所または所得の基因となる資産の名称及びその所在地(事業所または資産の異なるごとに記載します)]
ネットショップを自宅で行う場合、「名称」欄には何も書かず空欄にしておく。「所在地」は、納税地と同じ住所を記入する。
⑩[2.所得の種類(該当する事項を◯で囲んでください。)]
「事業所得」に◯で囲む。
⑪[3.いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめしたことの有無]
②の「無」に◯で囲みます。
もし、ある場合には、「有」に◯をして、その年月日を記入します。
青色申告承認の取消し とは
税務署からの処分のこと。帳簿書類の記録や保存が規則どうりになっていなかったり、隠ぺいして記載したり、確定申告書を期限内に提出しなかった場合は、青色申告の承認が取り消される場合がある。
青色申告承認の取りやめ とは
法人化や事業を止める場合、青色申告をしないという「青色申告取りやめ届」を提出し、廃業すること。
いずれの場合にも再度、青色申告をするには1年以上経過しないと受け付けてもらえない。ただし、その年の青色申告承認申請書の提出期限は3月15日までになっているので、1年後が3月15日より後の場合には次の年からになる。それまでは「白色申告」となる。
つまり、この「有・無」の記載は、青色申告承認取消し又は取りやめの日付が、1年以内なのかどうかを質問していることになる。詳しくは、税務署に問い合わせてほしい。
⑫4.[本年1月16日以降新たに業務を開始した場合。その開始した年月日]
事業の開始した年月日を記入する。1月1日から1月15日までに業務を開始した場合は、何も書かない。
*2ヶ月以内に提出
業務開始したあと2ヶ月以内に提出すること。つまり、ここに記載した年月日より2ヶ月以上経過すると、自動的に「白色申告」となる。例えば、業務を開始した日が、4月1日だとすると、提出日(②で記載した日にち)は5月31日までに提出しなければならない。なお、開業届は1ヶ月以内に提出することになっている。
*初年度は月額割
「なぜ、1月16日なのか?」と疑問に思ったかもしれない。これは個人事業税の控除金額が変わってくるからだ。個人事業主は「事業主控除」として、年間290万円が控除される。
ただし、開業初年度など、営業期間が1年に満たない場合には月額割となる。すると、月の半分である15日以前であれば満額で、それ以降であれば月割額がゼロ、ということになる。営業する月が1ヶ月変わると約242,000円変わってくる。
事業を行った月数と事業主控除の月額割は以下の表を参照。
営業月数 | 月割控除額(円) | |
1ヶ月 | 242,000 | |
2ヶ月 | 484,000 | |
3ヶ月 | 725,000 | |
4ヶ月 | 967,000 | |
5ヶ月 | 1,209,000 | |
6ヶ月 | 1,450,000 | |
7ヶ月 | 1,692,000 | |
8ヶ月 | 1,934,000 | |
9ヶ月 | 2,175,000 | |
10ヶ月 | 2,417,000 | |
11ヶ月 | 2,659,000 | |
12ヶ月 | 2,900,000 |
年度 | 評価額 | 固定資産税 | 1 | 120,000 | 1,680 | 2 | 80,000 | 1,120 | 3 | 40,000 | 560 | 合計 | ー | 3,360 |
しかし、個人事業の場合には、固定資産税を軽減する方法がいくつかある。
・課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されない
例えば、パソコンと机など10万円以上のものをすべて合計して150万円未満であれば、固定資産税がかからない。
・一括償却資産の特例
取得金額が10万円以上20万円以下は耐用年数に関わらず「一括」または「3年」で減価償却(経費として計上)できる。
・少額減価償却資産の特例(平成28年3月31日まで)
取得金額が30万円未満のものを使用した年度で「一括経費」として計上できる。国税局HPより。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5408.htm
つまり、青色申告した個人事業の場合には、30万円未満であれば、その年度に経費として計上できる。例えば、利益が大きく出た場合に、パソコンや机などを買って、一括償却して経費とすれば、所得金額を減らすこともできる。
ただし、10万円以上のものであれば、固定資産台帳に記入しなければならないし、使用しなくなった場合には、固定資産の廃棄処分(スクラップ業者の廃棄証明等)をする必要がある。
固定資産台帳は、所得税の計算に深く関わっているので提出が必要なのだ。
*仕訳帳
複式簿記の場合、取引の記録をするときは、まず「仕訳」をやって、仕訳帳に記入していきます。
仕訳とは
ビジネス上の取引を複式簿記にしたがって「勘定科目(かんじょうかもく)」に分類し、仕訳帳に記入すること。
仕訳帳は、勘定科目に分類し「借方(左側)」と「貸方(右側)」に記入し、それぞれ同じ残高になるようにチェックすることが目的だ。日々順番に、取引の全てを記録していくことが大事だ。
勘定科目の分類
・資産(現金、預金、売掛金、未収金、商品、貸付金など)
・負債(未払金、借入金、預り金、未払い費用など)
・資本(資本金、引出金、資本準備金など)
・収益(売上、受取手数料、受取家賃など)
・費用(仕入れ高、商品棚卸高、給料手当、退職金、荷造発送費、販売促進費)
*総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)
総勘定元帳とは、勘定科目ごとに記録するための帳簿のこと。仕訳帳は取引を日付順に記録していくが、総勘定元帳は仕訳帳を基にして、勘定科目ごとに分けて転記する。これを作ることで、事業の経済状態が把握できる。
例えば、「現金はいくらあるのか」「商品を売ったけどまだ入金されていない」、「お金は払ったけど、まだ商品が届いていない」といったお金の動きがわかるようになる。
これらの帳簿類は、青色申告のためだけではなく、「事業のカルテ」であり、ビジネスを存続させ、方向性を決める最も大事な書類なのだ。
⑮[その他]
記入しない。
⑯[関与税理士]
この書類を記入するにあたって税理士に依頼した場合は記入する。今回は一人に記入したので、記入しない。
⑱[税務署整理欄]
提出時の税務署員が記入するので、申請者が記入しない。

以上で、所得税の青色申告申請書に記入は完了する。
4.書類の提出

4-1 書類のコピーと捺印
すべての項目をチェックして、記入漏れやミスがないかをチェックする。
さらに1部ずつコピーをして、それぞれに捺印をする。つまり、届出書2枚、青色申告申請書2枚となる。
4-2 地方税務署に行く
届出書2枚と青色申告書2枚の合計4枚を持って、地方税務署にいく。
[長野税務署]
4-3 税務職員に提出する
実際の長野の地方税務署に行ってきました。一応、身分証明書である運転免許証や前年度の確定申告の控えを持って行ったが、何も要求されなかった。女性の事務の方対応してくれて、内容を確認して、左上の「税務署受付印」の場所に「収受印」を押してくれる。控え用としての用紙に「収受印」と「控印」を押してくれる。
(写真10)
4-4 それぞれ一部ずつを「控え」としてもらっておく
コピーを忘れた場合には、税務署員の方が「有料」でコピーしてくれる。
これで、提出は完了する。書類提出から、控えを受け取るまでには約1分しかかかっていないし、質問もなかった。
4-5 追加でやっておくとよい事
①銀行口座の開設
屋号と個人名の銀行口座をつくる。個人の銀行口座と事業の口座を分けることによって、お金の動きがわかり、経理作業が楽になる。また、個人事業なので、個人名口座でもよいので事業用として作っておくとよい。ネットでの個人口座開設は以下に詳しく書いてあるので参考にしてほしい。
・三井住友銀行ネットバンク開設
・三菱東京UFJ銀行ネットバンク開設
②印鑑
納品者や請求書、見積もりなどに印鑑を押す機会が増えると思うので、準備しておいたほうが良い。ネットでも2万円前後でセットで販売している。これも費用に計上できるのでしっかり領収書は保管しておくこと。なお、印鑑の印影をスキャナーでJpge画像にして、押印してメールなどで送ることは絶対にしないこと。画像から印鑑を偽造できてしまう。
③古物商許可申請
雑貨などを輸入販売する場合には、アンティーク製品も含まれる可能性があるため、古物商の許可申請をする。古物商の許可証は、警察署に申請します。手数料は19,000円。以下を参照してほしい。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetuzuki/kobutu/kyoka.htm
今後、古物商の許可申請方法も解説していくつもりなので参考にしてほしい。
まとめ
今回は雑貨を個人輸入してビジネスする方のために、「個人事業」の開業届の提出方法と青色申告書の提出方法について詳しく解説した。きちんと理解して、記載内容を整備して提出し、受理されれば確定申告の所得控除に役立つ。つまり節税できるのだ。
ぜひ、この記事を参考にして、個人輸入というビジネスを始め、志を高く持って事業を拡大させてほしい。
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