単身赴任者の浮気やうつ病、横領事件を防ぐために会社がやるべきこと

単身赴任・浮気・うつ病・横領事件・防止

インドネシアへの単身赴任者が、浮気やうつ病、横領事件などの問題を起こさないようにするために会社が積極的にやるべきことをまとめた。私がインドネシアに9年間単身赴任した経験を通して、浮気やうつ病や横領事件などの実際に起きた事件・実例を挙げながら、問題を起こさないためには会社がどのように取り組むべきかをまとめた内容だ。

単身赴任者が起こす独特の問題を解決するだけではなく、海外赴任者の家族の不安解消や赴任させた会社の業績アップをするためにも読んでいただきたい内容だ。

インドネシアなどの海外への単身赴任者には、多くの問題が発生する。問題が起こる原因の多くは、ストレス浮気だ。海外赴任する前には真面目に働いている人は、上司からも期待されているし、「海外に行ったらこうしよう!」と期待を胸に抱いている。

しかし、インドネシアに赴任してみると、あまりに現地の状況や現地人の世界観が違っており、目の前の仕事をこなすだけで精一杯になり、赴任前に抱いていた希望や目標はもろくも崩れ去る。実は私も、希望や目標を持って赴任したが、現状があまりにかけ離れており数ヶ月もしないうちに心に秘めた夢は打ち砕かれた。ストレスから、うつ病になる人も絶えない。

また、インドネシアに単身赴任した人は、異常にストレスが大きくなり、ストレスを解消するために現地女性との浮気に走ってしまう。そして、浮気や不倫関係が続くと、現地女性から要求される金額がだんだんとエスカレートし、自分の給料だけは足りなくなる。結果的に会社のお金に手をつける横領まで犯してしまう。こうなると妻と離婚して子供たちとも別れることになるし、不祥事が発覚すると会社のイメージダウンになってしまう。

中小企業であれば、海外での横領などの不祥事は大きなイメージダウンになり倒産の危機にもなりかねない。会社からすると「浮気やストレスは自分で解決すべき意識の問題だ」と思っているが、私は実際に9年間もの間単身赴任した経験から「単身赴任者だけで解決できる問題ではない」とはっきり言える。

海外に単身赴任する本人、日本にいる家族、そして会社の三者が一体となって防ぐべきことなのだ。単身赴任によって浮気やうつ病、横領を防ぐだけでなく、海外赴任によって赴任者が大きく成長し、家族の関係も深まり、会社の業績もアップさせてほしいと思っている。

今回は、インドネシアの単身赴任者に対して浮気、うつ病、横領事件を防ぐために会社がやるべきことを、海外赴任前、海外赴任中、海外赴任後(帰国後)というカテゴリーに分けてにまとめたので、ぜひ参考にして対策をしてほしい。

なお、海外の単身赴任については以下の記事も合わせて読んでほしい。
海外への単身赴任で旦那(夫)の浮気を防止する7つの方法
【海外単身赴任】年末調整・確定申告・配偶者控除の手続きまとめ
【インドネシア海外単身赴任】生活費の相場や赴任手当の相場について
インドネシア在住9年だから言える!赴任者と家族を守る7箇条

目次
1.海外への単身赴任前に会社がやるべきこと
2.海外の単身赴任中に会社がやるべきこと
3.海外から単身赴任した後(帰国後)会社がやるべきこと

1.海外への単身赴任前に会社がやるべきこと

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中小企業がインドネシアなどの海外支店や海外子会社に、従業員を単身赴任させる時にすべきことをお伝えする。中小企業では海外に赴任できる人材は少ないので、人選から手続きなどをすべて完璧におこなうことが大切だ。中小企業の多くが単身赴任させるのは、家族帯同での海外赴任は費用がかかるからだ。しかし、妻や家族と離れて暮らしてもらうには十分な準備が会社に求められる。

海外に単身赴任させるに会社は、以下のような準備が必要だ。

1)会社が海外への単身赴任者を選定するポイント

現地法人の社長は日本の社長が兼任する場合が多いと思う。現地常任の責任者は工場長や支店長といった役職になるだろう。現地の責任者の役割としては現地法人のすべての責任を負うことになる。

工場であれば、収支管理、現地従業員の採用、工場の建設、日本との連絡、全体の品質管理、現地の外注契約、営業などが主な仕事になる。つまり、全体を管理する能力が求められる。

工場長には決して管理能力と技術力の両方を求めてはいけない。例えば、プラスティック成形会社であれば、工場全体管理も出来て、成型機の調整や金型のメンテナンスもできる、といった両方を求めることは仕事量からいって無理なことだ。

日本の多くの中小企業の社長は、ゼロから会社を立ち上げてきた自負があるので、どうしても両方を求めてしまうだ。インドネシアにおいて工場長の最大の仕事は、従業員の心をつかみ、信頼関係を築くことだ。インドネシアで多くの工場が撤退していくのを見てきたが、ほとんどが従業員と日本人工場長とのミスコミュニケーションだ。

従業員とのミスコミュニケーションがあると、デモやストライキといった労働問題になる。多くの場合、従業員だけでなく全国組織の労働組合員が会社に出入りして金品を要求する。その間は、まともに生産できなくなり、お客様に迷惑をかけて最後は注文がなくなる。

コミュニケーションがないためにデモやストライキは突然起こる。同じ工業団地内でも同じことが起こった。すると、生産を中止するだけではなく、会社内のパソコンや設備を盗まれるし、日本人は命の危険にさらされる。昨日まで真面目に働いていた従業員たちは、法外な退職金を要求してくる。成型機の調整などができても、工場全体管理ができなければ撤退まで追いやられるのだ。

デモやストライキなどに発展しなくても、現地工場では様々な問題が発生する。例えば、従業員の取引業者との癒着、廃棄物の処理業者と従業員の利権争い、火災、地震、停電、窃盗、従業員間の不倫ばかりでなく、「幽霊が出る」といったことまである。以上は想像ではなく、私が実際に経験しており、その度に解決してきたことだ。

工場長や支店長の仕事は、これらの管理を上手くこなせる人でなければならいのだ。

また、経理担当の赴任者は3年を目安に交代させることだ。経理担当を信用していても、5年以上になるとどうしても抜け道が見えてしまうのだ。横領をさせないためにも、経理担当は3年として帰国させることだ。

現場で従業員を直接指導する担当者は技術力が必要になる。そして、今まで感覚でやっていたことを、すべてマニュアルにする能力も必要だ。インドネシアでは、一人に教えただけでは、そこから広がらない。必ずマニュアルにして、マニュアルど通りに作業をしているかどうかを確認するし、抜けや間違いがあれば随時追加、変更していく必要がある。日本からすれば簡単なことかもしれないが、インドネシアではマニュアル作成・維持・管理は非常に手間がかかる仕事だ。逆にいうと、私がインドネシア語を理解できたのは、毎日インドネシア語のマニュアルをチェックしてきたからだ。

海外赴任者は工場長クラスの管理職と経理担当、技術職とそれぞれに役目がちがうので、それぞれの業務内容によって分けることが大事だ。

2)会社は単身赴任者に必ず就労ビザを取得する

単身赴任・会社2

インドネシアで働くための唯一のビザが就労ビザだ。具体的は短期就労ビザでビザインデックスは「312」となる。商談や会議のみの場合、複数回入国できるマルチビジネスビザ「212」と1回だけのシングルビジネスビザ「211」がある。

最近シングルビザ「211]のルールが変更され、211A、211B、211Cと種類が分けられている。
・211A:商談、会議、家族訪問、芸術文化、スポーツ参加など
・211B:工業関連の訪問、コンサルティング、監査や品質管理
・211C:非商業目的の撮影・取材

インドネシアで働くには、報酬の有無に関係なく就労ビザ「312」が必要だ。

社会文化訪問(Sosial Budaya)ビザでは国立大学やNPOの団体用で、通常の会社では働くことができない。また、到着ビザや観光ビザでも働くことはできない。もし、入国管理局や警察に見つかると拘束され、ブラックリストに記載され、強制送還される。半年~2年間はインドネシアに入国できないので注意する。

近年では特に入国管理局の査察が厳しくなっているので、必ず就労ビザを取得して、インドネシアに赴任してほしい。ビザの取得については、2ヶ月以上かかるので、赴任が決まったら早めに取得の手続きを始めてほしい。

なお、就労ビザについては以下の記事が参考になる。
インドネシア就労ビザ取得方法まとめ

3)会社が用意すべき海外単身赴任前の費用

海外に単身赴任するための費用として、「引越し費用」と「海外赴任準備金」がある。

インドネシアのほとんどのアパートメントには、ベッドや机、テレビなどは備え付けられている場合が多いので、大きな白物家電もはほとんど必要ない。さらに、インドネシアは赤道直下なので着るものも夏物だけで済む。

必要なのな220Vから100V に変換するトランスと100V用のコンセント(テーブルタップ)だ。これがないと、日本から持っていた携帯電話やパソコンな繋げないことがある。コンセントを持っていくのは、現地のコンセントは粗悪品しかないからだ。10回ほど抜き差しをしただけで、金属部分がへたって、抜き差しする時に火花がで出る。

もし、自炊をするのであれば、日本製の炊飯器を持っていくと、現地のお米でも美味しく食べれる。

海外赴任準備金としては、旅行用カバンなどや身の回りのものだけなので、10万円~20万円が相場だろう。私の友人は、赴任準備金でゴルフセットを買って持って行った人もいた。使い道はそれぞれなので、自由に使ってよい。現地でインターネットをつなぐ費用にする人もいる。

4)会社は海外の単身赴任にはコーチやカウンセリング手当を支給する

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海外に単身赴任する場合には必ずコーチカウンセラーと契約してほしいと感じている。友達でもなく、会社の上司でもなく、家族でもない、まったく利害関係のないコーチだ。多くの企業はこの費用は考えていないのが現状だ。

私の9年以上インドネシアに赴任した経験から、浮気や横領までしてしまうのは「相談者がいない」ことだと断定できる。

海外の単身赴任は国内の単身赴任とは全く違う。日本とは全く違った価値観と文化があり、言葉も通じないし、宗教も違う。以外と日本人同士のつながりは、あまり多くないし、本当に心を開いて相談できる人がいないのだ。

今まで海外に赴任する人は、大手商社や大手のメーカーが中心だったので、社内だけのつながりでも人数も多いし、多くの経験をしているので相談者を探すことができた。しかし、中堅企業では3~4人程度の赴任者で仕事をこなさなければならない。

例えば、「現地女性から結婚を迫られたがどうしよう」または「現地女性から多額のお金の要求されたのだがどうしよう」と妻や会社の上司には相談できないだろう。また「仕事に疲れた。自殺したほうがまだ楽かもしれない」と誰に相談できるのだろうか?

私の場合にはコーチやカウンセリングに興味があったので赴任中に、自分でお金を払ってコーチを雇っていた。コーチには自分の思っていること、感じていること、家族のこと、仕事のことなどすべて正直に話していた。コーチは「私がどういう考えをもっていて、どうしたいのか」をすべて聞いてくれて、120%私を理解してくれていた。

さらに、自分のミッションや目標を一緒に決めて、それを達成するまでの小さなステップを作り、毎回チェックしていった。

自分自身の悪いところ、良いところも100%さらけ出して、そして次に進むためのアドバイスをしてくれる。海外赴任中にコーチをの存在がどんなに心強かったかをよく覚えている。だから現地女性との関係にも深入りしなかったし、自殺や横領などは起こす気持ちさえもなかったのだ。

中小企業の経営者の多くは、幾つもの困難を乗り越えてきた人が多いので、「このくらいのことで・・・」と思うかもしれない。しかし、現在は情報の量も、スピードも圧倒的に違うし、複雑な人間関係、与えられる仕事量、のしかかるプレッシャーに押しつぶされる海外赴任者も多くいる。会社としてはカウンセリング用の手当てを支給してほしい。会社からの推薦だと「カウンセラーと会社が繋がっていて、情報が筒抜けかもしれない」と思ってしまうからだ。

大事なことなので繰り返すが、浮気や横領を防止するには、100%信頼できるプロの相談者を持つことが最高の解決策だ。海外赴任者はコーチやカウンセラーは必ずお金を払って雇ってほしい。コーチやカウンセラーを持つことが、赴任者も、家族も、会社も守るための最良の解決策なのだ。

5)会社は海外単身赴任者の家族との三者会議を開く

単身赴任・会社4

海外に単身赴任する本人だけでなく家族も一緒に、海外に単身赴任にあたっての説明や相談をする場を設けてほしい。

家族が一番不安に思うのは、残された家族の生活費だ。どのくらい手当があるのか、実際に日本の口座のいくらが振り込まれるのかをはっきりと説明必要がある。家族からの要望によっては、現地の給与と日本にいる家族の生活費の割合を変えてほしい。

この三者会議がないと、「夫は海外で悠々と暮らしているのに、子供の将来の貯金もできない程ギリギリの生活だ」と思ってしまう。この不信感が夫に向けられる。つまり夫婦仲を悪くすることにつながりかねない。

そして、家族に対して、「◯◯さんを赴任者に指名したのは有能であり、海外でのミッションを必ず達成してくれるからで、非常に期待している」と話してほしい。家族に犠牲を払うことになってしまうが、それ以上のミッションがあるので協力してほしいということだ。

実際に説明する内容としては以下がある。
・海外赴任手当
・日本と現地の給与金額
・有給休暇日数と取り方
・一時帰国費用の負担
・家族の訪問費用
・海外赴任予定期間(3年、5年、または未定など)
・健康保険
・厚生年金
・年末調整
・源泉徴収
・確定申告
・納税管理人
・児童手当の変更
・住宅ローン減税分の負担
・赴任先の住所または住む予定の雰囲気
・緊急時の連絡先(どういう場合に帰国させるのか、危険度のレベル)
・緊急の連絡先(家族に問題が発生した時の連絡方法)

なお、詳細は以下の記事を参考にしてほしい。
【海外単身赴任】年末調整・確定申告・配偶者控除の手続きまとめ

6)会社がするべき海外単身赴任者の健康管理

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海外赴任者の健康のために、赴任前には必ず実施してほしいことが3つある。それは、予防接種、人間ドックと海外旅行傷害保険の加入だ。

①赴任前の予防接種
インドネシアには、日本ではすでに撲滅されている病気が多数存在する。必ず予防接種をしておいてほしい。時間をおいて数回接種するものもあるので、医療機関に問い合わせてほしい。インドネシアへの赴任の場合、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病予防、破傷風、日本脳炎がある。

なお、予防接種と医療事情については以下を読んでほしい。
インドネシアに渡航する前に受けるべき予防接種と最新医療事情

②人間ドック
通常であれば1年に1回人間ドックとを受けていると思うが、赴任前には再度、間ドックを受けておいてほしい。そして会社の人事担当にデータを持って行ってほしい。以前の会社で、赴任した直後に重大な病気がみつかり、2ヶ月もしないうちに帰国せざるを得なかったということもある。

③海外旅行傷害保険
インドネシアの場合、現地での健康保険と労働保険に入らなければならない。しかし、手続きがわかりにくいし、保証金額が少ないので日本人にとってはあまり意味がない。多くの赴任者は、海外旅行傷害保険に入っている。

代表的な保険会社としては、東京海上日動、AIU保険、ジェイアイ傷害火災などがある。それぞれの会社には単身赴任用の海外傷害保険があるので問い合わせてほしい。

7)会社がすべき海外赴任前トレーニング

多くの会社はすでにやっているとは思うが、赴任前トレーニングとして以下を行ってほしい。また、家族の方も夫が以下のようなトレーニングをして、ミッションを達成しようとしていることを知ってほしい。

①赴任予定地への出張
赴任する前には赴任予定地への出張をしていると思う。おおよそ2週間ぐらいが良いだろう。もしできれば、すでに赴任している方のアパートに一緒に住んでみると普段の生活や休日の過ごし方もイメージできるのでオススメする。私の場合も、前任者のアパートに約1ヶ月一緒に住んでいた。お手伝いさんとの付き合い方や休日のゴルフも一緒に行かせてもらったので、仕事よりも勉強になったことを覚えている。

仕事に関しても、従業員との付き合い方や日本人同士の関係なども理解できる。逆に現地で上手くいっていないことや、改善すべき点も見えてくる。

②赴任国の語学学習
インドネシアに赴任する場合にはインドネシア語を学んでほしい。短い期間だと思うので、日常会話程度しかできないと思うが、現地の発音やイントネーションに慣れてほしい。私の場合には、語学学校のインドネシア語講座の時期が合わずに勉強できなかった。結局赴任した後に、通訳などに「これはどんな意味?」とか「こういう場合には何というの?」と聞いて、カードに書いて昼休み中に単語を暗記していった。

できれば、赴任前に基本的なことを覚えておいてほしい。インドネシア語には以下の記事が参考になるので合わせて読んでおいてほしい。
駐在9年で開発した最速インドネシア語習得6ステップ【限定版】

③グローバル人材育成法
日本人がインドネシアに赴任するのは、「現地従業員の指導」が最も重要な仕事だ。つまり、現地に行ったら指導者や先生になるということだ。海外の場合には文化も価値観も違うので、現地人の考え方を理解しないと指導ができない。

多くのコンサルトタント会社などが行なっているので人材育成講座を受けてほしい。ただし、多く場合は米国やヨーロッパなどが多いので、インドネシアなど国別に特化した人材育成方があれば良いだろう。

インドネシアの人材育成法については以下の記事を参考にしてほしい。
たった8つの指示で劇的に変わるインドネシア現場リーダー養成法(その1)
たった8つの指示で劇的に変わるインドネシア現場リーダー養成法(その2)

④マネージメント養成講座
中小企業が東南アジアに進出した場合には、日本人赴任者はほとんどが会社の幹部となる。日本では普通の従業員であったのが管理職になるのだ。私の場合には「ジェネラルマネージャー」という役職になった。

現地法人の全体の利益を考え、計画し、実行しなければならない。日本本社との意向にも答えていかなければならないという難しい立場になる。技術を教えることも大事だが、マネージメントを理解していないと現地法人をうまく回せないのだ。

ただし、理論ばかりでは「机上の空論」になりかねないので、現地にマッチしたものが良いだろう。

マネージメントについては以下の記事が参考になる。
インドネシアにおけるエモーショナル生産性向上プロジェクト8ステップ

⑤経理の初歩
海外赴任者は管理職となるので、どうしても経理の数字に敏感にならなくていけない。少なくとも基本的な経理の用語と数字を理解しておく必要がある。

経費にはどんなものがあり、どんな範囲で、経理上どのように処理されるのかということをある程度は理解しておくことだ。難しいことまでは必要ない。例えば、電気、水道代はどのように分類されて、毎月どのくらいの変化があるのか、どのくらいになったら異常と感じるかということだ。

実例として、以前の会社のドライバーがガソリンを抜いていたという事件があった。そんな時に経理の数字は役に立つ。ガソリン代がどの項目に入り、どのくらいの変化があるのか、現実の走行距離と違っていないかということだ。対策としてやったことは、運行表をつけ走行距離とガソリンの使用量を比較し日本人がチェックする、ということだった。

2.海外の単身赴任中に会社がやるべきこと

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多くの会社は海外に単身赴任してしまうと、そのまま放って置かれてしまう。日本の本社から見れば「海外の外注」になるからだ。連絡があるのは、工場であれば製品の納期の督促ぐらいだ。

それに上手くやっていると思い込んでしまう。現実には日本本社からは見えない問題が次々と起こっている。インドネシアの場合には地震、津波、洪水などの自然災害もあるし、火事やボヤなどの人的災害、政治的不安定によるデモやストライキ、従業員の不正行為、日本人同士のいざこざもある。

さらに、赴任者の浮気やうつ病になる人も少なくない。以下のようなことを日本本社側は理解してほしいし、定期的に現地に赴き、確認してほしい。

1)会社は日本での研修に積極的に参加させる

スキルアップのための日本での研修にはできるだけ参加させてほしい。海外に単身赴任してしまうと、外注扱いにどうしてもなってしまうので、赴任者のスキルアップをしなくなってしまう。日本にいる従業員とのコミュニケーションをとるためにも、日本に帰国させて研修をしてほしい。

海外に赴任すると、スキルアップの研修内容が本当に身にしみて理解できるようになる。モチベーションアップや管理者養成講座や健康に関することでもいい。人材育成法などは本当に理解できるし、本人のためにもなる。一時帰国費用を研修のための帰国としても良いぐらいの価値がある。

2)会社は海外赴任者には違法なことをさせない

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日本本社は問題が発生すると「なんとかしろ」と言ってくる。もちろん、違法なことまでして「なんとかしろ」と言っているわけではないが、インドネシアでは捉え方が違う。「なんとかする」ために裏金を使う場合もあるからだ。

インドネシアのある日系の会社ではこんなことが起きている。、従業員を大量解雇したことで労務訴訟がおこり裁判になっていた。その裁判を会社側に有利な判決にするため、裁判官に裏金(300万円程度)を渡して買収した。それが収賄を取り締まる「汚職撲滅委員会」に見つかり、社長が逮捕された。

残念なことだが、まず従業員を大量解雇したのには理由があるはずだ。予想だが、あまりにも人件費が高くなりすぎたので、単純作業をする従業員を一気に入れ替えようと思ったのだろう。裁判になっても、日本本社からの指示で「なんとかしろ」と言われたら、裏金を使うしかなかったのだろうと予想する。

日本の本社はあまりにも厳格すぎるのも良くないと思うが、違法なことはしないと決めてほしい。コンプライアンスが以前よりも社会的に重要視されているからだ。赴任者の就労ビザ、納税、労働法などは必ず理解して守ってほしい。

コンプライアンス(compliance)
主に企業において法律や社内規定などのルールに従って活動すること。日本語では「法令遵守」と訳される。広義においては、法令を守ることだけではなく、社会的規範や企業倫理、モラルという意味もある。インドネシアではあまりコンプライアンスの概念がなく、違法ソフトウエアやコピー品が出回っているので注意してほしい。

3)会社は現地法人には急がせない

インドネシアなどの進出する企業の目的は人件費が安いからだ。しかし、現在では人件費も上がり続けており、思ったほど人件費の削減に至っていないのが現実だ。

インドネシアに進出する予定の企業にアドバイスをしているが、担当者は数字だけで国別の平均給与を比較していた。その担当者は一度もその国に行ったことがなかったので、「まず、現地に行ってその目で見ないと現実が理解できない」と提案した。

日本で得られた給与の数字と現地で実際にかかる人件費は全く違うのだ。一番大きく差があるのは生産生で、私の感覚でインドネシアの生産性は、日本の半分程度だ。さらに、納期に関する意識があまりにも低い。予定どうりに生産することが至難の技だ。

最近では、高速鉄道で中国が日本の新幹線に勝って受注した。私がこのニュースを見てすぐ感じたのは「絶対に納期は遅れる」ということだ。思ったとおり工事の申請段階でもすでに3ヶ月以上も遅れ、本格的な工事さえも始まっていないのだ。

さらにインドネシアではイスラム教の断食月が1ヶ月間がある。その前に日系企業に「断食月の注意事項」としてパンフレットが配られる。内容としては以下がある。
・急ぎの仕事をさせない。
・断食明けの時刻(夕方6時頃)には帰宅して家族と過ごせる様にすること。
・昼食の時間には仮眠ができるようにしておくこと。
・断食期間中は従業員を叱ってはいけない

つまり、断食月には生産性がかなり落ちるということを知っておかなければならないのだ。また休日は日本とかなり違うので、日本にいる関係部署には現地の営業カレンダーを貼っておいてほしい。

なお、断食月には別の意味でやることがあるので以下の記事を参考にしてほしい。
インドネシア従業員から信頼を勝ち取るための断食月のアクション10

4)会社は単身赴任者の帰国は年1回は必ず実施する

海外単身赴任した場合には、必ず年1回は一時帰国をしてほしいし、許可を出してほしい。完全にプライベートでなくても、研修後や日本本社での会議などをつなげてもいい。その後は家族との時間を取ってほしい。

浮気の防止にもなるし、赴任者が安心してリフレッシュでき、現地に戻った時の仕事の活力になる。海外での仕事をしていると、気がぬけないし、緊張の連続で、ストレスがたまるものだ。家族と一緒の時間を過ごすことで、本当に家族のために頑張っていると実感できるのだ。

5)会社は単身赴任者の浮気に注意する

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浮気やうつ病にならないための最良の方法としてはコーチやカウンセラーをつけることだが、やはり海外担当の部長以上役職の人が、半年に1回は現地を訪れてほしい。

そして、赴任者と1対1で話を聞いてほしい。これだけでも、「自分は期待されている」「重要に思われている」と感じることができる。私の場合には、ある取締役が5月連休と年末年始など、年に2回はインドネシアに訪問してくれた。実はこれが赴任者からすれば本当に嬉しいし、活力になるのだ。

取締役クラスになると、忙しいとは思うが時間をつくって現地に訪問してほしい。

6)貸家は家賃は安くてもいいが安全に住める場所を提供する

インドネシアも含めて東南アジアの家賃は高騰している。数年で2倍になったところもあるくらいだ。中小企業では赴任者の住宅費がかなりの負担になる。

最近では、ジャカルタ市内では高すぎるため、郊外に住居を決めることが多くなっている。私の場合、前の会社を辞めた後に自費でインドネシアに2年ほど暮らしたことがある。ジャカルタ郊外のブカシという町で、現地人の中クラスが暮らしている小さい2LDKのアパートで家賃は2万4千円程度だった。シャワーは温水ではなく水だけで、月に1回ぐらいは停電していた。しかし、十分安全に暮らすことができた。日本人は私以外にも数人いたみたいだ。

単身赴任の場合、インドネシアの住宅で一番注意すべきは、安全に暮らせる場所であれば良いと思っている。現在では中クラスが住めるアパートが多くあるので、あまりサービスにこだわらないほうが良いかもしれない。

なお、生活費の相場について以下の記事を参考にしてほしい。
【インドネシア海外単身赴任】生活費の相場や赴任手当の相場について

3.海外から単身赴任した後(帰国後)会社がやるべきこと

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海外での単身赴任が終了し帰国した場合には、海外での経験を会社の業務に活かしてほしい。私の場合、インドネシアから帰国後は元の部署に戻ったのだが、9年間いなかったため疎外感があり、海外経験がまったく生かされない仕事になってしまった。結局、会社を辞めることになってしまったのだ。

中小企業では、海外に単身赴任を経験した従業員は非常に貴重だと思ってほしい。だから、以下のような海外経験を生かされることをしてほしい。

1)会社は単身赴任者の帰国後の昇格・役職を考慮する

海外に単身赴任すると、現地での仕事は管理職となるし、経理的な数字や社員教育に関心が向く。海外での経験は管理職としての視点を持つことになるのだ。これ以上の管理者研修はない。さらに、インドネシア人などの宗教的に扱いづらい人種の指導をしてきたので、人間の本質が理解できるようになるのだ。

だから、帰国後の昇級や昇格をしても良いと思っている。もちろん、社内の規定はあると思うが、帰国した後の役職についてはじっくり話してほしい。それがないと、私のように仕事での目標が見つけられずに退職してしまうことになってしまう。

2)会社は海外での経験を生かした仕事をさせる

海外への単身赴任は、人生においても大きな出来事であると同時に、仕事に対する考えが大きく変わるターニングポイントになる。

中小企業にとって、海外赴任者には海外との関係があり、経験を生かした仕事をさせてほしい。それは営業でもいいし、輸出入関係でもいいし、商品企画でもいい。海外赴任経験者は、海外でできるものなのか、指導すればできるものなのか、現地の誰にまかせれば良いかが、即答できるぐらいになるからだ。

実際に帰国者に仕事をさせてみるとわかるが、会社の全体像が見えているので適切な仕事ができるようになっているはずだ。

3)会社は単身赴任した帰国者を講師にする

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海外赴任から帰国したら、社内講師として日本にいる従業員に指導してほしい。海外赴任していた時の経験談はたくさんもっているのだ。私の場合にも、インドネシアの経験を交えた品質管理の方法を教えていた。

例えば「ある時、製品の中に異物が発見された。よく観察してみるとそれは唐辛子のかけら(サンバル)だった。多分、食事後にくしゃみをしたのだろう」とか、「朝出勤してみると、昨晩、幽霊があそこに座っていた、という話を聞いた。何人かは失神してしまったということだった。そこで、白魔術師に頼んでお祓いをしてもらった」など、日本ではあり得ないことが頻繁あり、話題には事欠かない。

そこで、人間の本質や、世界観の違いの中で、品質と生産性を上げるためにどうしていったかという話は日本にいる従業員にとっても非常に利益になるのだ。

4)会社は海外現地の視察に行かせる

海外に単赴任して帰国した後にも定期的に現地に視察に行ってほしい。後任の赴任者のアドバイスをしたり、不正を防止することができる。

帰国した本人も現地従業員のほとんど知っているので、田舎に帰っている感じがして感情的にも嬉しい。現地従業員からもいろいろ聞いてくるし、こんな問題があると提案もしてくれる。こういった信頼関係のある付き合いは本当に素晴らしものだし、仕事に対する意欲も湧いてくる。
私場合も、何回か訪問したことがあるが、従業員の本音を聞くことができて嬉しかったことを覚えている。

また、従業員の雰囲気からストライキやデモなどに発展しないかなどもわかるようになるのだ。後任の赴任者、現地従業員とも人間関係を深められて、不正を防止できるので定期的に行ってほしい。

まとめ

インドネシアの単身赴任者の浮気やうつ病、横領事件を防ぐために会社がやるべきことを、赴任前、赴任中、赴任後に分けてまとめてお伝えした。

会社の従業員を海外に赴任させることは、本人だけでなく、家族の協力なしにはできない。そのため赴任前には三者での会議をおこなってほしい。

そして、赴任者には予想以上のストレスがかかるので、利害関係のない100%信頼できる相談者が必要だ。そのためコーチやカウンセラーを必ずつけてほしい。コーチはストレスを解消してくれ、本人のミッションを思い出させ、さらに進化するための道筋を作って、チェックしてくれる。私は赴任中にいろいろなことを相談できるコーチを雇っていたので、浮気にも深入りせず、うつ病にならず、横領などにも手をつけなかったと感じている。

その他にも、赴任者の健康管理や赴任中の一時帰国や家族との時間を作る、定期的な現地の訪問、帰国後についてもご紹介した。この記事を赴任する本人だけでなく、家族や会社とも共有して、インドネシアへの単身赴任を有意義に過ごし、ミッションを達成して共に成長してほしい。

以上、「単身赴任者の浮気やうつ病、横領事件を防ぐために会社がやるべきこと」と題してお伝えした。

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